筆者は、民進党が自民党の「自助」に代わる、「共助」に基づいた福祉・社会保障政策を打ち出し、若者に夢のある社会を残すと訴えるべきだと論じた(第126回・5p)。「自助」の政策が前提としている「標準的な日本の家族」の復活は無理であり、社会として親の世代の面倒を見るという「共助」の仕組みが必要とされているのが現実だからだ(第122回・5p)。

「共助」の社会の行政サービスとは、すべての国民に一律に提供されるものである。それは、歴史的に家族を中心にした「自助」の考え方が強い日本社会では、なかなか理解してもらえないものである。また、民主党政権期の「子ども手当」への厳しい批判のように、共助を嫌う自民党、官僚から激しいバッシングを受けるであろう(第129回・4p)。

 しかし、3年間という時間があれば、「サービスを本当に必要とする貧困層だけではなく、サービスを必要としていない中流・富裕層にも一律にサービスを提供する」という「共助」のサービスを提供すれば、「納めた税金に見合う行政サービスを受けられていない」という中間層の不満を和らげることができ、増税への嫌悪感を減らしていき、財政赤字を減らすことができるということをじっくりと国民に説明することができる(佐藤滋、古市将人「租税抵抗の財政学」)。「共助のサービスはバラマキ」だという誤解を解いていく時間が十分にあるということだ。

 民進党が、「すべての人へのサービス」を打ち出し、それが国民の増税への理解を獲得し、財政再建につなげると訴えるならば、それは、「特定の人へのサービス」を厳しい審査で行うことで財政支出が減らせるとする自民党・公明党との明確な対立軸になるのではないだろうか(第129回)。

3年間かけて取り組む政策(3)
憲法改正の超党派の議論

 そして、安倍首相に1つ提言をしたい。同日選後の3年間は、憲法改正をじっくりと議論し、国民の理解を得るのにもいい時間なのである。今の情勢では、同日選で衆参両院の3分の2の議席を改憲勢力が確保するのは難しいだろう。しかも、安保法制の国会審議で憲法学者が次々に「違憲」の見解を示したことをきっかけに、国民的な反対運動が広がったことで、国民の多くが「憲法改正」に対する強いアレルギーを持ってしまった。憲法改正は「政治的に死んだ」状態である(第111回)。仮に、同日選後に3分の2の議席を得たとしても、今のままでは国民投票で勝てるとは思えない。