内閣府に設置される閣僚級の「成年後見制度利用促進会議」は、こうした不正への対策も検討するとはいえ、3年後にしか結論は出て来ない。精神障害者団体などは、その前に利用を促進すれば被害が拡大すると懸念している。

 確かに3年後では遅いと言わざるを得ないだろう。克服すべき課題は明らか。全体の司令塔となる利用促進会議を早急に招集すべきだろう。認知症への総合施策「新オレンジプラン」は、国際会議の場で首相が背中を押されて急遽まとめられた。それに比べ、政府には後見制度が認知症ケアの一環という認識がまだ足りないようだ。

被後見人の「権利制限」の実態

 後見制度を使うと様々な権利制限を受けてしまうのも残された課題だ。同じ勤務を続けていた障害者の地方公務員が、後見制度を利用すると、雇用継続を断られ失業者になりかねない。

 被後見人は、公務員や教員、企業の取締役にも就けない。医師や弁護士、税理士、社会福祉士、介護福祉士などの国家資格を得ることもできない。

 すべての法律行為から排除されるのも問題だと批判されている。障害者など本人の自己決定権を奪い、意思決定を支援していく仕組み作りが肝要という国際的な流れに抵触しかねない。かつて、被後見人の選挙権の行使が問われ、当事者からの訴えでようやく認められたこともあった。

 意思決定支援とは乖離したこの権利制限は、国連の障害者権利条約に違反するとも指摘されている。同条約12条では、障害者も法的能力を持ち、その行使について必要な措置をとることを求めている。日本政府が一昨年同条約に批准したこともあり、今後、制限撤廃の方向に向かわねばならないだろう。

 もうひとつ、現場を悩ませている課題が積み残されている。