株価が下がってくると「アベノミクスは失敗だ」「日本経済はやっぱり成長できていない」という声がすぐに強くなってくる。
円安で輸出産業が息を吹き返して、工場など国内への投資が増えたのは間違いないが、それだけでは若者減少で市場が縮小する我が国全体の経済成長への貢献度は十分とはいえない。だからちょっと円高が始まっただけですぐに将来の不安が高まってくる。
そんな日本経済の先行きだが、世界の識者はどう見ているのだろう。興味深いレポートがある。アメリカの国家情報会議(NIC)が4年に1度、新しいアメリカ大統領に提出しその後世界に向けて公開されるグローバルトレンドというレポートの主筆だったマシュー・バロウズが書いた『シフト 2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来』(ダイヤモンド社刊)という本である。
米国人が予測する日本の未来
希望は「高齢者向け住宅産業」?
この本は来年、新しいアメリカ大統領が誕生したときに作成されるグローバルトレンドを先取りした内容で、アメリカ、EU、中国、ロシア、イスラム各国など世界の勢力を横軸に、技術革新、資源開発、民主化、経済成長などこれから起きる変化を縦軸にして世界の未来を予言している。
その中に“日本は「過去」の国になる”という項目がある。
バロウズ氏によれば“日本は中国との差が拡大しているが、「中の上」程度のパワーを維持するだろう”という。ただしそれは日本がかなり頑張って構造改革をなし得たらという条件つきの話だ。その条件はいろいろな面で克服は難しいだろう。そうなると日本は本当に過去の国になってしまう可能性の方が高く見える。
しかしそのような悲観的な予測の文章を詳しく読みとくと、ひとつだけ希望にあふれた一文を見つけることができる。そこには日本の未来について、“高齢者が増えて、医療業界と住宅業界は成長に拍車がかかるだろう”と書かれている。