どのような「育てられ方」をしたのか?

 竹中平蔵教授が「『親の教科書』といえる稀有な良書」と評し、『「学力」の経済学』著者、中室牧子氏が「どうやって子どもをやる気にさせるのか、その明快な答えがここにある」と絶賛。また、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「リーダーシップ育成の教科書として、目下最良の一冊」と称する『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』

 ベストセラー『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』著者“グローバルエリート”ムーギー・キム氏と、子育て連載でバズ記事連発のミセス・パンプキン氏が、200人を超えるエリート家庭の「最も感謝している教育方針」を調査し、本質的なリーダーシップ育成法を一冊にまとめている。

 発売わずか2ヵ月で13万部を突破し、子育てのみならず、ビジネスやあらゆる分野のリーダーシップを伸ばすビジネス書として、異例のベストセラーとなっている中、本書の内容に基づき、各界のリーダーと「リーダーシップの育て方」を論じる対談編をお送りしている。

 今回はムーギー・キム氏が、M&A、バイアウト、事業再生の分野で日本のトップを走る佐山展生氏(スカイマーク株式会社代表取締役会長、インテグラル株式会社代表取締役)を訪ねてお話をうかがった。ムーギー氏が働く業界の先輩であり、また京都の名門洛星高校の先輩・後輩でもあるという不思議な縁を持つ二人。人とはまったく違う独自の道を歩み、ビジネスを大成功させてきた佐山氏はいったいどんな子ども時代を過ごし、自身の子育てについて、どのような教育観を持っているのか。

何でも「母に言われた通り」にしていた

ムーギー『一流の育て方』を書いた目的の一つに、学校の勉強ができるだけでなく、佐山さんのように主体性を発揮し、リーダーシップが取れるような人になるにはどうしたらいいのか、というところを解き明かしたいという思いがあったのですが、実際、佐山さんはどういった子ども時代を過ごし、どんなふうに育てられたんでしょうか。

佐山 私の子ども時代を一言で言えば、むちゃくちゃ可愛がられたっていうことですかね。父方、母方含めての初孫だったんで、親からも、祖父母からも別格に、断トツに可愛がられました。それはもう自分でもわかっていましたし、親戚に会えば「展生ちゃんだけ特別かわいいんやなあ」ってよく言われましたよ。

ムーギー それだけ、エコ贔屓されていたと?

佐山 完全にそうですね。エコ贔屓されまくってました(笑)。母からも溺愛されて、なんでもやってもらってたんです。小学校に入るまで母親に服を着せてもらうような子でしたから、小学1年のとき、体操服に着替えるのも一番遅かったんです。

ムーギー 私も、ミセス・パンプキンに溺愛されて育ったので、親近感が涌きます。佐山さんのご家庭も、けっこう過保護だったんですね。

佐山 過保護もいいとこで、何でもやってもらうし、何でも母親の言われた通りにする。だから、小学校を卒業するまで、私は模範的ないい子だったと思います。

ムーギー それは意外ですね。そういうふうに育てられた人って、主体性を発揮したり、リーダーシップを取れる人になれなかったりするんですが、佐山さんは違ったんですね。

佐山 どうですかね。正直、子どものころは何も考えてませんでした。考えたといえば、小学5年のときに急性腎炎になって、3ヵ月間、絶対安静の状態になったんです。京大病院の小児泌尿器科へ連れて行かれて、そこで病気の子どもたちをいっぱい見て「ああ、自分ももうすぐ死ぬんちゃうかな」って思いましたね。小学5年の3学期から6年の2学期まで学校を休んでましたから、けっこう長いですよ。そこで一度死を考えました。

ムーギー 幼くして死を考える、そういう経験があったんですね。