自己評価も他己評価もいらない

自己概念やセルフイメージがなければ、他人のどんな批判、承認、評価(つまりみんなが必死に回避したり達成しようとするものすべて)も、重要ではなくなります。何しろ、守ったり擁護したりするものがないのですから。

無条件に存在する状態では、努力をしなくても自然に、モチベーションや自尊心や自信がわいてきます。これが私たちの、ありのままの状態なのです。

もちろん、あらゆる自己概念やセルフイメージを一掃する必要はありません。そんなことは不可能に近いし、しじゅう自分でチェックしていなければなりません(つまり余計な思考や努力が必要になります)。問題は、セルフイメージを持つことではなく、それが思考だと気がつかないこと、美しいつくり物だと認識しないことです。

私たちは、自分が思考者であることを忘れてしまうのです。
私が営業部長時代、勤めていた会社で人員削減がありました。そのとき、「私もクビになったらどうしよう」と思ったのを覚えています。もし営業部長でなくなったら? 仕事をしていない自分なんて考えられない――。

 46%の人が、「自分のアイデンティティーは仕事によって定義される」と考えている

このとき私は、自分がいかに自己認識や自尊心を、仕事や肩書きと結びつけているかに気がつきました。また、喪失感は解放感にもなりうることに気がつきました。それは私が思考と認識のパワーについて、ごく初期に学んだ教訓です。

その後、私は、仕事が人間を定義するのではないことに気がつきました。人間が仕事を定義するのです。私たちを道に迷わせるのは、思考の働きに関する誤解なのです。

人間の本質は、エッチ・ア・スケッチ(磁石のお絵描きパッド)に似ています。そこには何でも描けるし、何度でも白紙の状態からやり直すことができます。

あなたが自分をどういう人間だと思うかは、あなたの本当のアイデンティティーではありません。あなたはあなたの思考でも、過去でも、遺伝的特徴でもありません。あなたは思考者で、あらゆることを考えることができます。

私たちのアイデンティティーは思考によって形成されることに気づくと、本当の自分が表れる余地ができます。生まれながらに自信と勇気を持った、条件づけのない自分です。

シャンタル・バーンズ(Chantal Burns)
若い起業家からCEOまで、世界中のさまざまなビジネスパーソンにアドバイスを行っているリーダーシップ・コーチ、メンター。BBCやタイム・ワーナーをはじめとして世界中の有名企業を指導している。三度の来日経験があり、日本でもコーチングを行っている。個人や組織のパフォーマンスを向上させるプログラムには世界各地で定評がある。バーンズは8月に来日予定。今後継続的に来日し、現在 欧州を中心に注目されている 新しいリーダーシップスタイルの開発プログラムを日本始めアジアでも提供していく予定。