歴史を学ぶには「流れ」と「人物」
KADOKAWA×東大流の大ヒット

 前回の第138講『百花繚乱ビジネスコミック「5つの成功法則」とは?』では、大ヒット作品である『まんがでわかる 7つの習慣』『ザ・ゴール コミック版』などから、その成功法則(*1)を探りました。

 しかし、「経営戦略」×「歴史」ではこれまでマンガ版の成功例がなく、『経営戦略全史』(2013)をベースとした『マンガ経営戦略全史』では独自路線で行こうと決めました。主人公は偉人たち各々で、価格も1200円の上下巻です。

 それは奇しくも、昨年6月に刊行された『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』と同じ路線でした。

 KADOKAWA版は、既存大手のマンガ『日本の歴史』に対抗(*2)して、「人物を中心とした物語」と「時代の大きな流れ」の2つを中心に構成されています。それが歴史を学ぶ上でもっとも効果がある「東大流(*3)」だと、話題にもなりました。

 たとえば「1333年 鎌倉幕府が弱体化して滅んだ」などという話ではなく、「天皇家が2つに分裂した」→「傍系だった後醍醐天皇が全国に幕府打倒を呼びかけた」→「これに楠木正成など非御家人の反幕府勢力が呼応した」→「でもトップになったのはもっとも正統の有力御家人 足利尊氏」、といった具合です。流れがあり、人物がいます。その積み重ねによって歴史が形づくられていきます。

 子どもと親、そして祖父母たち(*4)の心をつかみ、160万部(*5)の大ヒットとなりました。『マンガ経営戦略全史』も、目指せ『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』!です。

『ビリギャル』の著者で学習塾「坪田塾」塾長、坪田信貴さんは、「歴史は学習マンガで学ぶほうがいい」と言います。むむ、そうかもしれません。

 なので私も大学でやってみました。

女子大生に「基礎経営学入門」……

 『経営戦略全史』のマンガ化作業が始まった頃、新しいチャレンジ話が舞い込みました。それが、女子栄養大学 食文化栄養学科(*6)の経営学講義です。今年4月からの「基礎経営学入門」(2年生向け)という科目を引き受けることになりました。

女子栄養大学で経営学講義!「読んで書いて演じる」で学ぶ

*1 『まんがでわかる 7つの習慣』からは、1原作が堅めの名著・大著、2若い女性が主人公、3高い物語性、4価格1000円、5絵が上手、など。
*2 小学館・集英社・学研の3社。2012年に学研が絵柄を新しくして再刊し、大ヒットとなった。
*3 東京大学史料編纂所の山本博文教授が監修している。
*4 祖父母が孫へのプレゼントとして全15巻をまとめ買いする。孫5人向けに5セット買った方もいるとか。
*5 2016年3月10日現在。
*6 栄養学部の他の2学科と異なり、管理栄養士や栄養士の資格習得を目的としない学科。