灘→東大理IIIの3兄弟を育てた「ゴッドマザー」の子育て法とは?
竹中平蔵教授が「『親の教科書』といえる稀有な良書」と評し、『「学力」の経済学』著者、中室牧子氏が「どうやって子どもをやる気にさせるのか、その明快な答えがここにある」と絶賛。また、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「リーダーシップ育成の教科書として、目下最良の一冊」と称する『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』。
発売わずか2ヵ月で15万部を突破し、子育てのみならず、ビジネスやあらゆる分野のリーダーシップを伸ばすビジネス書として、異例のベストセラーとなっている中、本書の内容に基づき、各界のリーダーと「リーダーシップの育て方」を論じる対談編をお送りしている。
今回は第4章の内容である「自分から勉強するようになる学習習慣の身につ着け方」について論じるべく、著者の一人ムーギー・キムさんと、「灘→東大理IIIの3兄弟を育てたゴッドマザー」として知られる佐藤亮子さんの対談が実現した。2月に刊行された『灘→東大理IIIの3兄弟の母が教える中学受験勉強法』(KADOKAWA)は、子どもの能力の伸ばし方から中学受験の具体的ノウハウまで詰め込まれており、大きな話題になっている。佐藤さんは、なぜそこまで子どもたちに勉強させたのか?子どもたちにはどのように接しているのか?佐藤家の謎に迫る。
学びには、「旬」がある
ムーギー 佐藤さんは、息子さん3人を灘中学校、そして東京大学理科III類に合格させたことで有名ですね。「受験に恋愛はいらない発言」で炎上し、「スパルタお受験ママ」というイメージを持たれがちな佐藤さんですが、『灘→東大理IIIの3兄弟の母が教える中学受験勉強法』(KADOKAWA)を読んでまったく違う印象を持ちました。愛情深く、将来どんな仕事に就いても役立つ能力を育てていらっしゃって。
大分県出身。津田塾大学卒業。大分県の私立高校で2年間英語教師として勤務。結婚後、奈良県に移住し長男、次男、三男、長女の順で4人を出産。長男、次男、三男が揃って難関私立の灘中学校・灘高等学校に入学。東京大学理科III類(医学部)に進学。3兄弟揃っての東大理III進学は珍しく、母の育児法・勉強法が注目される。現在は長女の大学受験をサポートしながら進学塾などで講演。テレビ、雑誌などメディアでも発言している。著書に、『「灘→東大理III」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方』『「灘→東大理III」3兄弟の母が教える中学受験勉強法』(ともにKADOKAWA)、『受験は母親が9割 灘→東大理IIIに3兄弟が合格!』(朝日新聞出版)『「灘→東大理III」の3兄弟を育てた母が明かす志望校に合格するために知っておきたい130のこと』(ポプラ社)などがある。最新刊は『図解「灘→東大理III」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方』(KADOKAWA)。
佐藤 ありがとうございます。もともと、私自身は子どもたちを灘中や東大に入れようと思っていたわけではないんです。ただ、彼らの持っている能力を最大限伸ばすために、「旬」を逃さないようにと気をつけていただけで。
ムーギー 旬、ですか?
佐藤 「この情報をこのタイミングでインプットしたら、いちばん能力が伸びる」というポイントですね。極端なことを言えば、2歳で覚えられることを20歳で覚えるのは、遅いんです。ひらがなだったら、10歳で覚えるより3歳で覚えたほうが、早くから本も読めるし周りからの情報も得られる。成長にもいい影響があるでしょう?わざわざ、6歳から始まる学校のペースに合わせる必要はありません。
ムーギー 「学ぶことには旬がある」。印象的な言葉ですが、どうしてそう思われるようになったんですか?
佐藤 小学4年生のときに新聞を読んでいたら、72歳の女性が夜間学校に通ってひらがなを勉強しているという記事が目に入ったんです。彼女は戦争のせいで勉強の機会を失い、読み書きができないまま商売で生計を立て、4人もの子どもを育て上げた。72歳になってようやく自分の時間ができたから、文字を覚えるために学校に通い始められたそうで。
ムーギー へえ。いい話ですねえ。
佐藤 ええ。でも、記事には「あ」や「ね」、「む」の書き分けがむずかしいと書いてあったんです。私は、「子どもの自分でも簡単に覚えられたのに」と衝撃を受けました。そのとき、子どもならすっと頭に入る一方で、大人になると覚えにくいことがある——―つまり、「物事を学ぶのには旬があるんだな」と思ったんです。
ムーギー いやあ、それはえらく視点が違いますね。普通は私みたいに「いい話ですねえ」で終わるのに、効率的な学習に関する年齢に思いをはせられたなんて。