Q 今後の大統領選の見どころは?
A 私も長年、大統領選を見てきたが、今回ほど先が読めない選挙は記憶にない。
予備選における見どころは大きく三つ。第一に、リベラル気質のニューヨーク州とカリフォルニア州で、ドナルド・トランプ氏が勝てるかどうかだ(下図参照)。両州とも大票田なので、ここで勝利できれば党大会までに過半数の代議員を獲得できる可能性が高まる。
第二に、7月の党大会がブローカー・コンベンションに突入するかどうかである。そして第三に、もしもブローカー・コンベンションに突入した場合、共和党内でどのような駆け引きが行われるのかだ。もしも、予備選を1位通過するであろうトランプ氏が、党内の駆け引きで他の候補に敗れた場合、トランプ氏は第3の候補として本選に出馬する可能性もある。
そうなると、クリントン氏と共和党候補、トランプ氏の三つどもえの戦いとなる。3人のいずれも本選で過半数を取れない場合、同時に行われている議会選挙で選ばれた下院が次期大統領を選出する。
下院は共和党優勢なので、トランプ氏ではない共和党候補が大統領に選ばれることになるかもしれない。つまり、予備選、本選で1位ではない候補が大統領になる可能性もあるわけだ。私の記憶では、こんな事例は第6代大統領になったジョン・アダムズ氏しかない。
ちなみに、日本で選挙制度への導入が検討されている「アダムズ方式」とは、このアダムズ氏が提唱したものなのだ。
「選挙に奇跡はない。しかしサプライズはある」
日本の選挙プランナーの第一人者でアスク社長の三浦博史氏の言葉だ。前回の本選では、10月末にニュージャージー州をハリケーンが直撃。急きょ選挙活動を中止して対応に当たったオバマ氏が接戦を制し、「オクトーバーサプライズ」と呼ばれた。果たして今回の選挙もサプライズはあるだろうか。