Q 大統領はどうやって選ばれるの?
A ちょうど今、米国は大統領選挙の真っ最中だ。投票所で有権者が投票するのを見ると、大統領は直接選挙で選ばれているように思えるだろう。しかし実際には、有権者は「大統領を選ぶ人」を選んでいる。つまり間接選挙によって大統領は選ばれるのだ。
下図のように、大統領選は大きく二つの段階に分かれる。各党の大統領候補を決める予備選挙と、各党の候補者から大統領を選ぶ本選挙だ。
今年2月からすでに始まっている予備選では、有権者は自分が推したい候補への投票を表明している「代議員」に投票する。ただし代議員の中には、選挙結果に関係なく自由に投票できる「スーパー代議員」がいて、予備選では大きな影響力を持つ。今回の予備選で民主のヒラリー・クリントン氏が優位に立っているのは圧倒的多数のスーパー代議員から支持を得ているからだ。
7月に各党が開く全国党大会までに、過半数の代議員を獲得した候補が、党の候補者に内定する。
ただし、予備選でいずれの候補も過半数を取れなかった場合、党大会の初回投票は支持を表明した候補にしか投票できないので過半数を取れない可能性が高い。その場合、代議員は2回目以降自由に投票することができるようになる。そうなると、党内で過半数を確保すべくさまざまな駆け引きが飛び交うブローカー・コンベンション(取引集会)に突入する。誰かが過半数を獲得するまで続けられる。
こうして選ばれた候補者が党を代表して本選に進む。本選は、有権者が「選挙人」(大統領を選ぶ人)を選ぶ一般投票と、選ばれた選挙人が大統領を選ぶ選挙人投票に分かれる。一般投票で538人の選挙人の過半数270人以上を獲得した候補者が、晴れて次期大統領に内定し、選挙人投票を経て、新大統領となるのだ。
ところで、予備選が集中する3月の火曜日を「スーパーチューズデー」(今年は3月1日)と呼び、本選の一般投票も今年は11月8日の火曜日に行われる。なぜ大統領選の投票日が火曜日に集中するのか、知っているかね?
日本では投票日は日曜日と決まっているが、米国では日曜日は安息日なので無理。月曜日にすると日曜日に準備をしなければならなくなるのでこれも無理。それで火曜日に落ち着いた、という説もあるし、現代のように車がない時代は、投票するために遠方から馬車でやって来る有権者もいた。安息日の翌日の月曜日に出発した場合、その移動時間を考慮して火曜日を投票日とした、という説もあるようだ。