──国産と輸入の価格差は?

「国産品には国の助成金が付いたおかげで1.5倍ほどで済んでいます。ナタネは連作が利かず、また裏作の品目なので有機などの表示ができないというデメリットもあります。ナタネ栽培は基本的には無農薬なのですが、畑によっては他の作物で使っている場合もあるので」

 原材料のナタネを齧ってみると青臭みがある。そこでまず焙煎することで風味を良くし、油を出やすくする。

 焙煎にはレンガ造りバーナー式の焙煎機を使っている。顧問の山崎氏がスタッフに焙煎温度の確認をしていた。

「焙煎機は回していると温度が上がっていきますし、夏場と冬場など気温の変化によって焙煎温度は簡単に変わってしまいます。だから、こまめにチェックしないと」

 焙煎したナタネをローラーにかけて潰す。潰したナタネを圧搾機にかけていく。搾りたての油は香ばしく、風味もいい。ピーナッツ油にも似た香ばしさがある。江戸時代の天ぷらはこうした油で揚げていたのだと思うと、感慨深い。

「これは搾り立てで、昔はみんなこの状態で使っていたわけですが、現代人にはちょっと匂いに癖がありすぎる。そこで精製していくわけです。精製した油にこの風味を生かした油を少しブレンドするといい風味になるんですけどね」

 絞った後の絞り粕も利用価値がある。畑の肥料になるのだ。ナタネは捨てるところが本当にない優れた作物である。

「非遺伝子組み換え品ということ、それと薬品を使っていませんし、溶剤抽出もしていないのでかなりの油分が残っています。そのため有機農家さんからは重宝されています。時々、農家さんも見学に見えますよ」

安価すぎる油との違いから知る
ナタネ油の“本当の実力”

搾りたての油

 搾りたての油からえぐみやレシチンなどを除去する「脱ガム」という工程の後、お湯と油を混ぜて撹拌する「湯洗い洗浄」を行う。そして脱臭の工程を経て、濾過すればサラダ油になる。濾過に使うろ紙は無漂白のものを16枚重ねて使う。「これが一番、確実なんです」と社長の森田氏。

「ただ無漂白のほうがコストが高いんです。漂白したほうが安いって不思議な気もしますが」

 できたての油を味見させてもらった。後味が軽く、すぐに消えてくれる。後にはコク味だけが残る。こうして味わってみるとスーパーで売られている特売の油は何なのだろう、と思う。安心、安全はもちろんだが、最大の違いはやはり味である。遺伝子組み換えの問題はともすると〈賛成か反対か〉という単純な二元論に陥ってしまい「おいしさ」という視点が抜け落ちてしまう。

 顧問の山崎さんからお話を伺う。山崎氏は大手製油メーカーに長く勤め、現在は米澤製油の技術顧問を務めている。