例にあげた体重変化のように、数値が非常に大きく変化している場合、ピーク時、ボトム時、現在、平均値というように、過去のいくつかの時点と比較することで、深刻度合いが理解できるようになります。マッキンゼーの人材育成責任者として実践し、BBT大学の講座で人気の著者が、普通のビジネスパーソン向けに書いた『はじめての問題解決力トレーニング』から、エッセンスをご紹介します。
顕太さんの場合は、ボトム時よりも現在値が増えていることもあり、図表8では棒グラフの順序も、ピーク時、現在、ボトム時、平均と並べてみました。すると、努力をしたボトム時ですら、60~64歳の平均よりも9%ほど重いことがわかりました。どうやら深刻な状況にあるようです。
ここで、チャートを描くうえでのコツに触れておきましょう。このケースのような場合、たいていの人は時系列に、ピーク時、次にボトム時、そして現在と平均値と並べてしまいがちです。
でも、このチャートから読み取るべきポイントは、現在はピーク時とボトム時の中間の体重であり、ボトム時ですら平均より重いということです。そう考えると、図表8に示した順番のほうがわかりやすいですよね。
チャートは考えるための道具なので、まずはある数字を見てチャートを描いてください。次にその意味するところを考えて形を修正すると、伝わりやすいチャートになります。
よいチャートは説得力を持ちますが、そうでないチャートはむだに時間を取るばかりか、問題の理解を邪魔するおそれもあります。プレゼンテーション資料にはよいチャートのみを選んで入れるのが理想です。
チャート作りに慣れてくると、伝えたいメッセージをまず頭に思い浮かべて、それを証明するチャートを描くことができるようになります。
ちょっと高度に感じられるかもしれませんが、そうなれば、初めからよいチャートを作成できて効率も高まります。
たくさん描いて慣れる以外に習熟する方法はありません。あなた自身の体重でも、お小遣いの使い道でも、お子さんの成績でも、何でもかまいません。身近なデータをチャート化することに、まずは気軽に挑戦してみてください。
(次回は、6月23日公開予定です)