発声練習の「NGワード」

「マンマ」「パパ」と単語を口に出し、意味がわかるようになって、意志も通じるようになると、急速にお母さんの言葉をおうむ返しに発音できるようになります。

 この時期、子どもは、自発的にしゃべるための発声練習をしているのです。

 言葉で意志が通じることを、知りだしたからなのです。

 たとえば、「ママ、ママ、オンモ」と単語の羅列で意志を表すときは、必ず「オンモ、イクノ」ではなく、

「オンモ、オモテへ行くのね?」
「オンモ、オモテに行きたいの、待っててね、まだ行けないの、待っててね」

 と何度かくり返して答えましょう。
決して、「オンモでないの、オモテ」とは言わないでください。

 靴を履かせるときも、

「クック、クック」
「クック、靴ね、これは私の靴、ママの靴、○○ちゃんの靴、どれがいいかな」
「こっちの足にはこれ、こっちの足にはこの靴を履くのよ」

 と、正しい単語を何度も言い直して、話しかけましょう。

「クック履いて、オンモヘ行こう」

 とお子さんの言葉をくり返さないで、

「クック、靴を履いてから、オモテへ出かけようね」

 と、はっきり話しかけてください。

 子どもがよくマネる時期は、親は正しい言葉づかいをしてください。
 長い文章(センテンス)でもいいのです。

 子どものほうは、その中で気に入った単語を覚えますが、単語だけを教えるのはムダです。

 長い言葉の中から覚えた単語の前後に言葉があることを知り、長い言葉の中から新しい単語を記憶して、言葉の前後のつながりで意味を感じとれると、大事な意志表示につながります。

 お母さんだけが知るわが子の能力は、それがどれほどすぐれていても何の意味もありません。脳の中に大事に収めているだけでは役に立たないのです。

 外に表現する行動があってこそ初めて、子どもの脳の発達度合を知ることができます。

 この場合は、まず発声ができたら口で言葉として発音させ、話せるようにします。

テレビもDVDも立派な教材

 言葉をはっきり、しっかり使えることが早くできると、その子の生活は豊かに広がります。

 自分の意志がほかの人に伝わることは、自信もうれしさも増します。
 これが励みとなって、自分から学習しようという意欲につながります。
 自分の意志が伝えられるようになると、親は発音の仕方や話し方に気をつかわなくていいのです。

 テレビなどのおかげで、子どもたちはどんななまり言葉も聞きとれます。
 多くのものの中から、自分に必要なものを上手に選び出していくことは、現代っ子には必要条件です。
 まず、言葉とおしゃべりの訓練で、その技を磨いていきましょう。
テレビもDVDも立派な教材となります。