では、別の場所とはどこがいいのか。もちろん、それは一概には言えませんが、これまで地上の星として輝いた中で、自分のどの能力、技能、性格、価値観が、今の会社の外で通用するのかを考える必要があります。

 もちろん、これは簡単ではありません。長く一つの会社の中にいると、その会社の標準値で、自分のさまざまな能力が偏差値化されてしまうからです。

 わかりやすい例えを使えば、役所では、ミスなくコツコツ行うことについては、多分、全員が偏差値70くらいでしょう。すなわち、ミスなくコツコツ働くという面においては、役所の皆さんは大変高い水準にあるということです。

 つまり、世の中レベルでは偏差値70という相当高い水準が平均点、すなわち役所内での偏差値50になるわけですから、かなりの水準の仕事ができて当たり前。自分が周りより少し杜撰だとすれば、その人は「自分はいい加減でちゃらんぽらんな人間だ」と思い込んでしまいます。

 さて、その人の偏差値が役所の中では45だとします。ところが、それでも世間に出れば、実はその偏差値は65、かなりのしっかり確実人材ということになるはずです。

 このように、自分の能力を自分の認識だけで判断することは非常に難しいのです。役所の中では偏差値が45相当の人でも、ベンチャー企業でまだまだ体制も整わず、ミスが多い会社に行けば、その会社の標準値が30だとすれば、相対的にものすごい偏差値になる。80かもしれません。

 以前にも紹介したことがある例ですが、ある自動車メーカーで、自らクリエイティビティが売りだと感じていた人が、広告会社に転職しました。あるワークショップで5人の同僚から自分の長所を書いてもらうセッションがあったのですが、その人の長所は「堅実な仕事ぶり」で揃いました。

 最初、その人はその結果に非常に悩みました。何といっても前の会社ではクリエイティビティが売りだったわけで、堅実さなどは少しも評価されたことがなかった。

 しかし、冷静に自己分析するうちに、前職で培った、「正しく構造化して仕事をする能力」「ミスなく仕事をするスキル」は確かに、広告会社では優位性があるということに気がついたのです。逆に、前職で飛び抜けていたクリエイティビティは、広告会社ではせいぜい並レベルだったのです。

 こうした自己認識のずれはよくある話です。現在の会社と世間というだけでなく、この例のように、業種の違いによって、会社の標準値はさまざまに違います。次に行きたいと思う会社では、自分のどの能力がどのような優位性を発揮し得るかということをしっかりと認識する必要があるわけです。

 正しく自分を相対化して認識するためにも一人で悩むのではなく、異なる基準で判断してくれる別の業界の仲間が必要です。そして、そこで把握できた自分の強みを発揮できるところに行くのがいいわけです。

 Dさんの場合も、どういう強みを持った会社に勤められているのか、その組織の中で、Dさんはどのような強みを発揮されてきたのかによって、天空で輝くために進むべき方向は変わってきます。

 仮に、会社の弱みを補って地上の星となっていた場合は、本人のその力は、もしかしたら社会に出たら、相対的には低いレベルかもしれません。しかし同時に自分では当たり前と思っている能力が、その会社自身が強みにしている部分であれば、大変な強みになるかもしれないわけです。そこを分析してください。私に詳しく教えてもらえれば、より具体的な示唆ができるかもしれません。