前々回の本連載で、「インデックス運用よりもアクティブ運用のほうがずっと楽だ」と書いたところ、複数の読者から「アクティブ運用のファンドマネジャーは何をしているのか」と質問があった。

 この問いには、時期により、会社により、また、ファンドマネジャーの考え方によっても違う答えが出てくるので、この点はあらかじめお断りしておく。

 ひと昔前と今とで大きく違うのは、株式市場が開いているときの時間の過ごし方だ。昔は、ファンドマネジャーが証券会社に直接注文を出すことが多かったので、証券会社と長々電話するケースが多かった。今では、売買執行は売買専門の部署のトレーダーに任せることが多くなった。これは、分業による効率化でもあるし、取引の高度化への対応でもあるが、ファンドマネジャーと証券会社の癒着を防ぐためという意味も大きい。

 かつて、証券会社の側から見て手っ取り早い注文のもらい方は、ファンドマネジャーを接待することだった。今晩接待すると、翌日には「お返し」の注文が出る、というような時代が確かにあった(筆者は、両方を経験した)。

 売買の手間から解放されて、ファンドマネジャーは何をしているのか──。市場を漫然と見ている人はやはり多いが、アクティブマネジャーでは、調査に時間を使っている場合がある。アクティブ運用の手数料が高いのは、調査にコストがかかるからだと説明されることが多いから、当然といえば当然だ。