果たして中国経済は
「強い」のか「弱い」のか

 こうして考えると、中国経済は常に「強い」というイメージと「弱い」というイメージの両方を備えているが、この両方がこの予測によって矛盾なく示せたとも言える。

 このことは米国経済との比較によっても言えるだろう。米国経済は日本と違って順調な成長を続けているように見えているが、実際は人口増による効果が多く、1人当たりでは日本と同程度の成長しかしていない。したがって、アメリカ経済ももしこの「ゼロ成長」が続くとすると、2033年の中国経済はその2倍程度の規模を獲得することとなる。

 これは「強い中国」のイメージを形成することとなる一方、産業構造の転換の難しさ、1人当たりGDPでは「弱い」というイメージとなるだろう。

 私はいつも学生に向かって「君たちがビジネス界でもっとも活躍するのは30年後だ」と言っている。現在20歳前後の学生が50歳前後となるは30年後だからである。が、その「30年後」を本当に見据えて就職活動をしている学生は少ない。以上の予測はこれより短い「20年後」の世界についてのものであるが、それでもこれほど大きな変化がある。ビジネス界で活躍の諸氏も是非考慮に入れられたいところである。

 実のところ、以上の計算を行ったモデルは「マルクス派最適成長モデル」と呼ばれ、どの国もが高成長→中成長→低成長の道を必ず通過するとの上記の法則の表現をひとつの目的としたモデルである。マルクス経済学も現在では生産関数を推計し、部門間比率の移行過程を分析するようなモデルの研究が行われるに至っている。詳しくは、『中成長を模索する中国』(大西編、慶應義塾大学出版会、2016年)の第7章を参照されたい。