経営 X 人事
なぜ日本企業の人事部は採用が下手なのか?
【第2回】 2016年7月12日
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服部泰宏 [横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授]

日本は遅れている!?米国企業の採用はここまでやっている

 たとえば、ミズーリ州に本社を持つ多国籍バイオ化学メーカー・モンサント社では、「工学系(engineering)の採用活動において、全米で10校から12校に限定した厳選採用を志向しているが、このような「指定校」の形式をとることはアメリカにおいて当たり前のことであり、公然の事実なのだ。

採用後の活躍度を予測する「ワークサンプル」という考え方

 もう1つ、依然として米国企業の主要な採用ルートになっているのが、インターンシップだ。といっても日本企業でしばしば見られるような、短期的なものであったり、説明会的な性格の強いものではなく、採用後につくことになる仕事(もしくはそれに近いような仕事)を実際にさせて、仕事遂行能力と人物を評価するタイプのものが主流だ。

 ここで重要になるのが「ワークサンプル」という考え方である。

 実際に仕事をさせ、その成果を評価することで求職者の優秀さを測るやり方であり、世界の採用研究では、このワークサンプルこそが、採用後にその人材がどれくらい活躍できるかを予測するもっとも有望な方法であることが実証研究によって確認されている。

 機械の修理をさせたり、プロジェクトの計画立案をしたり、その求職者が実際にすることになる仕事のサンプルを用意して、実際に従事させてしまう。その成果を見ることで優秀さを検出することを目的としている。

 採用後の配属が不明確であるという事情はあるのだろうが、これが求職者の優秀さを高い精度で予測することがわかっている以上、日本企業の中にもワークサンプルを用いた採用を行う企業がもっと現れても良いように思う。

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服部泰宏(はっとり・やすひろ)[横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授]

1980年生まれ。2009年神戸大学大学院経営学研究科マネジメント・システム専攻博士課程を修了し、博士号(経営学)を取得。滋賀大学経済学部専任講師、同准教授を経て、2013年4月から現職。著書に『日本企業の心理的契約 増補改訂版: 組織と従業員の見えざる契約』(白桃書房)など。
 


なぜ日本企業の人事部は採用が下手なのか?

日本企業はすでにグローバルな人材をめぐる採用・育成競争に巻き込まれ、負けている。まず、この現実を認識するところからスタートしなければならない。その上で、この連載では、世界の企業の採用に目を向けてみる。「人材がこそが最重要のリソース」だと本気で信じ、それを実行に移している世界の企業では、一体どのような人材採用が行われているのか。その中から、日本企業にとって学ぶべき点があるとすればそれは何か。

「なぜ日本企業の人事部は採用が下手なのか?」

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