多くの読者がご存じのように、新入社員の採用も、短期間に行われて、相手の事をよく分からぬまま意思決定を迫られ、その意思決定がしばしば失敗する。しかし、それでも何とかしようと努力するイベントが新入社員採用なのである。

 新入社員の採用は、書類選考、筆記試験、グループディスカッション、に加えて数次の面接で決定することが一般的だ。会社により、候補者にもより、必ずしも、全てのプロセスが行われるとは限らないが、都知事選同様の「短期間で情報が少ない中での人物評価」でこのような選考が行われている。

 都知事選にあてはめるなら、例えば、同じ条件で候補者が何を答えるかを問う筆記試験はやってみたい気がする。

 例えば、「2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの実施にあたって、都知事として重要だと考える施策について、1200字以内で論述してください」(制限時間1時間)といった問題に、代筆者ではなく、本人に答えてもらうことができれば、その答案用紙はかなりの判断材料になろう。答案は、採点なしでウェブに掲示すればいい。もちろん個々の有権者が採点者だ。

 新入社員の採用にあって、グループディスカッションがどの程度有効なのかは疑問なしとしないが、多くの会社がやっているところを見ると、全く無効でもないのだろう。

 ランダムに候補者のグループを作り、何通りもの組み合わせで、討論会をやってみると有権者の参考になろう。もちろん、討論会は、インターネット等で生中継し、アーカイブも閲覧できるようにする。

 討論は、誰がコーディネーターをやるかによって評価が影響を受けるが、参加メンバーとコーディネーターの組み合わせを何通りか変えて実施すると、ある程度偏りが除去できるのではないだろうか。都知事選の場合、採用するのは一人だけなので、新入社員採用よりも丁寧に時間を掛ける価値があろう。

 いずれにせよ、候補者が発信したいと思っている情報だけでなく、候補者が何かを問われて、それに答えるという条件で候補者の考えや能力を評価する材料が欲しい。