頑張って片づけても散らかる人の正解とは?
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片づけが苦手な人・片づけられない人へ
整理整頓は「しない」が正解?
今日は、片づけが苦手な人が「あえてやってはいけないこと」についてお話しします。
よくあるアドバイスとは逆になりますが、結論から言うと「整理整頓をしてはいけません」というお話です。少し極端な言い方ですが、正確には「整理整頓をしなくてはいけない」と思い込みすぎないことが大切なのです。
「整理整頓」を頑張ると
逆に散らかってしまう
片づけられない人が、一人で頑張ってきっちり整理整頓しようとすると、かえって部屋がぐちゃぐちゃになり、疲弊して何もできなくなってしまうことがあります。私自身も、たぶん「片づけられない人」の傾向があると思っているのですが、病院の開業準備をしていた時、まさにこの壁にぶつかりました。
当時、院長として管理すべき書類やファイルが山のようにありました。スタッフに手伝ってもらってはいましたが、最終的には自分で把握しなければならない重要書類もたくさんあります。
しかし、「常にきちんと整理しなければ」という強迫観念にとらわれると、逆に必要な書類が出てこなかったり、実際に紛失してしまったりしました。日々の診察業務だけで手一杯な中、複雑な整理を維持するのは不可能で、パニックになりかけたのです。
「冬眠前のリス」になっていませんか?
そこで私が気づいたのは、「もう整理整頓をしようとしない」ということです。
几帳面な人は綺麗にファイリングをして分類したがります。確かに、物事を整理して取り出しやすくするのは合理的です。しかし、片づけられない人にとっては、その作業自体が大きなストレスになります。
無理に整理しようとすると、まるで「冬眠前のリス」のような状態になってしまいます。リスは冬眠に備えてあちこちに食料を隠しますが、人間が同じようにすると、結局どこに隠したか忘れてしまうことがありますよね?
それと同じで、細かく分類して整理しようとした結果、どこに何があるのかわからなくなってしまうのです。
解決策:大事なものは「1ヶ所」に放り込む
では、どうすればいいのでしょうか? おすすめなのは、「本当に大事なものは全部ここに入れる」と1ヶ所だけ決めて、そこに全て放り込むという方法です。社会生活を営む上で最も重要なのは、綺麗にすることではなく「大事なものをなくさないこと」だからです。
例えば私の場合、本当なら「雇用関係」「資格関係」「施設の認定関係」など細かく分けた方がいいのかもしれません。しかし、それをやると必ずどこかへ行ってしまいますし、分類すること自体がストレスになります。
ですから、「大事なものは全部この部屋(このファイル)に置く」と、かなり大雑把に決めました。もちろん、1ヶ所に集めすぎて出しにくい場合は、自分のキャパシティの範囲内で少しだけ分類しても構いません。
私は「雇用」「保険」「書類」の3つくらいなら管理できたのでそうしましたが、これはご自身の許容量に合わせて決めてください。
最優先事項は「なくさないこと」
きっちり整理整頓しようとすると、途中で無理が生じ、結局はぐちゃぐちゃになって物をなくします。「整理整頓しない」というよりは、「整理整頓を極限までシンプルにする」と言ったほうが正しいかもしれません。
ご自身が片づけられない人だと感じているなら、以下のルールだけで十分です。
●「絶対になくしてはいけない大事なもの」は、決めた1ヶ所(箱など)にすべて入れる
●なくしてもいいものは、それ以外の場所にあっても気にしない
これくらいの割り切りを持って、まずは「物をなくさないこと」を最優先にしてみてください。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。








