「その後のツレがうつになりまして。」(幻冬舎刊)・作者の細川貂々さんとツレさん
 およそ3年にわたる夫(ツレ)の闘病生活を描いた漫画、「ツレがうつになりまして。」「その後のツレがうつになりまして。」(幻冬舎刊)。作者の細川貂々さんとツレさんは、まさに2人3脚でうつを乗り越えた。会社を退職し、病状が一進一退を繰り返していたどん底の時期をどう脱したのか。病気を通し、夫婦の関係はどう変わったのか――2人に聞いてみた。

「うつ日記」でわかった
自分の回復

――退職後の病状はいかがでしたか?

ツレさん:いきなり悪化して、びっくりしました。会社を辞めたらすぐよくなるもの、と2人とも思い込んでいたので。1日中、布団から起き上がれませんでした。意識が朦朧としていて、高熱が出ているときのような感じ。でも、問題はその後だった。

貂々さん:1ヵ月ぐらいして起き上がれるようになってから、やたらと落ち込むようになった。くだらないことで、ぐちぐちぐちぐち。もともと愚痴を言う人ではなかったのですが。

――ご主人の性格が変わってしまったことに、たじろがなかったんですか?

貂々さん:たじろぎましたけど、その一方で面白がっている自分もいました。もともと人間観察が好きなものですから。だから、ふだんとは正反対の人間になっている彼を見て、「人ってこんなにも変わるのか」と感心したりして(笑)。

ツレさん:その後も病状は一進一退という感じで、波がありました。悪化したときは自分自身に裏切られたようで、ほんとうにつらかった。しまいに「僕なんていないほうがみんな幸せなんだ」なんて自分に同情して泣いたりして。安っぽい小説の主人公になったような心境ですね。後から思うと非常に恥ずかしいんですけど。

貂々さん:見ているほうもつらかったです。でも、母親から「励ましちゃいけないそうよ」と言われていたので、「頑張れ」とは言わないようにしていました。

ツレさん:「客観的に見て、状況はこうこうだから悩む必要はない」なんてことも絶対言わなかった。そのかわり、「変なことばかり言っていてすごく面白いから、絶対記録しておけ」って(笑)。

ツレさん:それでブログを立ち上げたのですが、書き込みの中には、自分にとってしんどいコメントもあって。しかたなく、ブログはやめ、ノートに日記を書くようになりました。そのうち、同じことを何度も書いている自分に気づいた。しかも長い目で見ると、少しずつだけど病気が快方に向かっているのがわかる。あるとき僕が「前より悪くなっている」と言い張ったら、彼女が「日記を読んでごらんよ、絶対よくなっているから」と。読んだらその通りでした。