赤城乳業・マーケティング部部長の萩原史雄さん Photo by Toshiaki Usami

夏だ、アイスだ、ガリガリ君だ!
というわけで、今回は赤城乳業をレポートしている。我ながら、シンプルすぎる発想だなとは思う。しかし、25年間も値上げを我慢した会社だ。きっと、まだ報じられていない仰天戦略があるはず――。前回レポートしたように、工場見学を終えた我々は、「ガリガリ君戦略」の陣頭指揮をとるマーケティング部部長の萩原史雄氏に、じっくりとインタビューすることにした。

なぜ値上げを決断した?
語られた「お詫びCM」の真実

「これ、おもしろですか、それとも、まじめな話?」

 いきなり萩原さんにそう突っ込まれ、言葉に詰まった。まじめに戦略を探りに来ているつもりだが、そのあたりのところが、どうも理解されていないようだ。しかたなく、こう答えることにした。

「えーっと、おもしろまじめです」

 質問にはあくまで、まじめに答えていただきたい。

――というわけで、改めて「お詫びCM」の件について伺いたいのですが、どのような経緯であのCMを流そうという話になったのでしょうか?

「じつは、1991年に50円から60円に値上げする時にも広告を打っています。2010年にガリガリ君の欠品騒ぎがあった時も、ガリガリ君に頭を下げさせた。ですから、今回も何かやろうという話は最初から出ていまして、去年の12月くらいには決定していました」

――会長以下、100人の社員が頭を下げるというアイディアもその時に?

「実際は、会長以下120人ですね。CMですから、当然、コンペをやりまして、別の案も検討されてはいました。一時、やらない方向に話が流れたこともあったのですが、まあ、最後は会長がゴーサインを出しました」

――やめようという流れになった際の理由は?

「予算の問題です。うち、もともとお金ないんで」