――えっ、ガッチリ儲かっていたんじゃないんですか?

ガリガリ君は実は「大人の食べ物」だった!「値上げ前は、まったく利益が出ていなかった」と衝撃告白をする萩原さん Photo by T.U.

「値上げの前は、ほんとヤバかったですよ。このまま行くと、異常だなというくらい、まったく利益が出ていませんでした」

 ちなみに、赤城乳業は売上高は公開しているが、利益関連は非公開だ。利益が落ち込んだ要因は複合的だそう。

「震災の影響もありましたし、円安等で電気代が上がったこともありました。それと、新聞で報じられましたけれど、中国での伐採制限でアイスに使うバーの値段が上がったことも影響しています。ただ、一番大きいのは何かと言えば物流費。単価200円のアイスを運ぶのも、ガリガリ君を運ぶのも、かかる人件費やガソリン代などコストはほとんど一緒ですから」

 言われてみればその通りで、だからこそ、多くのメーカーは利幅の大きい高単価な商品の開発に力を注いだり、ブランディングにお金をかけたりもしている。「お詫びCM」の一件を報じた海外メディアは、「デフレの象徴」としてガリガリ君を扱った。萩原さんは憤慨していたものの、それも一面の真実ではある。

 赤城乳業が利益がほとんど出なくなるまで値上げを我慢したのは、1979年当時の苦い記憶があるからだ。第二次オイルショックが日本列島を覆い、エネルギーコストや原材料費の高騰に加え、消費も大きく落ち込んでいた。会社はこの時、当時の看板商品だった「赤城しぐれ」の価格を30円から50円へと値上げする決断をしたのだが、これが裏目に出て売上高は激減。さらなる苦境に立たされた過去がある。

 同時期に、似たような経験をしたメーカーも多かったのだろう。日本企業がギリギリまで値上げを我慢する文化を持つようになったのは、このようなオイルショック時の手痛い経験があったからではないか、と睨んでいる。

メイン購買層は40代!?
不遇の時代を乗り越えたガリガリ君

「ガリガリ君はもともと小学生がお小遣いで買える商品として作っていますからね。そういう意味でも、値上げはなかなか難しい。ただ、実際の購買層はと言えば、今は40代が中心なんです。ですから、子どものお小遣いというよりはサラリーマンのお小遣いを気にしなくちゃいけなくもなってはいるんですけれど」

――高齢化とともにだんだんとファンも高齢化してきた?

「というよりは、35年前に食べていた人が今も食べ続けていると言った方がいいかもしれません。今回のお詫び広告に関しても、紙媒体で日経新聞を使ったのはそういう理由もあるんです。一番のヘビーユーザーである中高年男性が最もよく読む新聞でお詫びしたかったという……」