7月20日、Jリーグが英国に本拠を置くデジタルコンテンツ会社と放送権契約を結んだことを発表したが、驚かされたのは、その料金である。10年で2100億円、単年にすれば210億円になる。Jリーグがこれまでスカパー!などと契約を交わしていた放送権料は年間約50億円といわれるから4倍以上だ。
この巨額の放送権料を知った人の多くは、こう思ったのではないだろうか。「Jリーグの試合がコンテンツとしてそれだけの価値があるの?」と。
「10年2100億円」払う英社は
Jリーグの試合をどう配信するのか
Jリーグがスタートして23年。当初は10クラブだったが、年を追うごとに参入クラブは増えていき、今ではJ1、J2、J3合わせて53ものクラブがある。各クラブでは熱心なサポーターやファンが育ち、その期待に応えるべくクラブはチーム強化に励んだ。その流れが日本のサッカーのレベルアップを促し、リーグの実力はアジアでもトップクラス。W杯にも出場して当たり前と思われるところまできた。
とはいえサッカー人気が日本で隆盛を誇っているとまではいえない。観客動員が増えているといっても、プロ野球の1試合平均の入場者数が約2万8000人に対し、Jリーグは約1万7000人と大きな差がある。また、プロ野球も同様だが、テレビ中継も高視聴率は稼げない。かつてはW杯で活躍したスター選手が続々とJリーグ入りし、その名前でお客を呼ぶこともできたが、現在はそうしたビッグネームもいない。熱烈なサポーターやファンはいるものの、多くの人を惹きつけるところまで行っていないわけだ。
だが今回、10年・2100億円という巨額の契約が成立した。放送権を獲得したパフォーム・グループ(以下パフォーム)はJリーグにそれだけの価値があることを認めているに違いない。
パフォームは2007年に設立され、瞬く間に世界最大級のデジタル・スポーツコンテンツを提供する企業に成長した。最先端のデジタル技術を持ち、世界で同時に行われている250ものスポーツの映像を制作し、ネット配信。ドイツ・ブンデスリーガやイタリア・セリエAの放送権も保有している。