第1話では、女性たちが医者と結婚したがることを、私は「お医者さま病」と呼んでいると書いた。私の体感では、結婚相談所に来る女性で「医者と結婚したい」と考える人は、全体の4割程度にのぼる。
「自慢の夫」「自慢の婿」を欲する、日本女性特有の病だといってもよい。
この感覚は、もしかしたら男性にはわかりにくいのではないだろうか。「自慢の妻」を得たい、という男性はあまりいないように思うからだ。むしろ、自分の妻の自慢をするのは恥ずかしいと感じる人のほうが多いだろう。妻に求めているのは、他人に自慢できるポイントを持っていることより、「居心地がいい」とか「安心できる」という部分である。
この違いはなぜか。これは、男は仕事で外に出て、女は家で専業主婦をしてきたという日本の社会背景が関係しているのだろう。
男性の場合、仕事を通じて自分のプライドを満たすことができるが、専業主婦の女性たちは自分のプライドを自分自身で満たすことができなかった。つまり、女性は自分のフィールドで勝負するものを持っていなかったのだ。
そのため、自分のフィールドとは関係のないものでプライドを満たすのである。それが、自慢できる職業の伴侶や婿を得ることであったり、子どもをその職業に育てたりすることであったりしたというわけだ。
その表出として最たるもの、それこそが「お医者さま病」なのではないだろうか。
つまり、この病は日本社会の影が生み出したものに他ならない。