前回は、結婚・出産も経て、勤続20年を超えた総合職の50歳女性から寄せられた、「自分の会社での評価が低い中で、今後の人生をどう過ごすべきか」という悩みにお答えしました。そこで今回は、これからの女性の「40代からの折り返し方・働き方」について考えていきたいと思います。

ダイバーシティの最初の本丸はやはり「女性」

これから企業においてカギになるのは、女性管理職の存在です

 今の経済界の課題の中でも重視されているものの一つに、ダイバーシティ&インクルージョンがあります。簡単に「ダイバーシティ」と称されるものです。ダイバーシティは多様性を意味し、狭義には、「さまざまな人材を活用していこう」という意味です。

 この「さまざまな人材」には、一般的には女性、障害のある方、高齢者、外国人などが含まれます。その中で、先行して考えなければいけない「人材」が女性です。

 なぜ今、ダイバーシティが重視されるのでしょうか。もちろん、誰に対しても平等に能力発揮の機会を提供すべきという“道理”はありますが、それだけでなく、これからの日本において、人口減少、少子高齢化と相まって、大規模な労働人口減少が予測されているからです。

 良質な労働力の供給源として、従来のように、「若い男性」だけに頼っていては立ち行かなくなるという理由が、雇用する側に切実な問題としてあるわけです。

 信頼すべき統計によれば、今から80年後には日本の人口は現在の3分の1にまで減少します。そして、それ以上のスピードで、労働人口は失われていくのです。

 そうした未来予想を前提とするならば、これまでとは違い、すべての人が「少しずつ」働く、そんな国を目指さなくてはいけないのです。

 話は少し飛びますが、1980年代から90年代にかけて、北欧諸国が経済危機に見舞われました。我が国同様バブル崩壊の影響が甚大だったのですが、ここからの脱出は我が国とはいささか異なっていたようです。彼らは、徹底した財政再建を図り、国民で痛みを分け合いました。

 同時に彼らは「国民全員ができる限り働くような国になろう」と宣言しました。大変にユニークは発想です。老若男女、皆が自分の分に応じて働こうというのです。障害のある方も、自分が付加価値を発揮できる、そんな働き方をしようというわけです。その方が、皆が幸せになれる。そのために彼らは教育には徹底的にお金を使いました。幼稚園から大学まで、基本的に無料にしたのです。

 日本も今後、そうした方向になる。ならざるを得ないと思っています。だからこそ、企業は、多様な人々が多様な働き方をもって能力を発揮できるようにしなくてはならない。これは、国家、地方自治体、そして企業がともに、真剣に取り組むべき課題なのです。

 そして、そうした流れの中で第一に目指すべきなのが、男性と女性の隔てのない雇用です。ダイバーシティの最初の本丸がここです。もちろん、障害者も高齢者も外国人も、同時並行的に進めていくべきことに変わりはありませんが、最初の本丸は女性の能力発揮の本格化です。

 より具体的に言えば、女性の管理職登用の推進です。採用面に関しては昔に比べて随分と女性比率が高まってきました。しかし、管理職、役員比率はまだ低いままです。女性活用の推進には女性の管理職登用が欠かせません。