安倍首相の肝いりでスタート
自動運転技術開発は国家プロジェクトに

 わが国では伝統的に、メーカーとサプライヤーのタテの繋がりは強固でも、各メーカー間のヨコの連携はほとんど顧みられてこなかった。しかし、首相自らが『第4次産業革命』と呼ぶこの変革点に当たっては、官がイニシアチブを発揮し、国内の総力を結集して、日本から世界基準のフォーマットとなる技術を発信することが不可欠だ。

「『自動走行システム』は、安倍首相の肝いりでスタートした『戦略的イノベーション創造プログラム(SIP、エスアイピー)』11分野の1つに選定されています」(同)

 SIPは、社会に不可欠、かつ日本の経済・産業競争力にとって重要な課題を、府省を超えた視点で推進するために内閣府に設置されたプログラム(SIP資料より)だ。メーカーや大学からプログラムディレクター(PD)を選定し、分野ごとに予算を計上する。自動走行システムのPDにはトヨタ自動車の葛巻清吾氏が就任し、今年度は26.2億円の予算が配分された。

 目標は「10年代半ばを目途に準自動走行システム(レベル2)を、20年代前半を目途に、レベル3を市場化する。さらに、20年代後半以降には完全自動走行システムの市場化を目指す。20年東京オリンピック・パラリンピックでは、レベル3を先行的に実用化」(同資料より)だという。

「内閣府、警察庁、総務省、経産省、国交省と産学が一体となって同プログラムを構築しています。今までに例を見ないこの横断的な組織編成から、政府の自動運転技術に対する並々ならぬ意気込みがうかがえます」(同)

 また、国際的な標準化競争においても、日本は攻勢を強めているという。

「国際的な自動車の安全・環境基準を策定している国連の組織“WP(ワーキングパーティ)29”では、『自動運転分科会』の議長を日本と英国が共同で務め、議論を主導しています。また、WP29では『自動操舵専門家会議』においてもドイツと共に議長を務め、ドイツやフランスで禁止されている『10km/h超での自動操舵』に関する規則改正を精力的に進めています。国際ルール作りに遅れを取っているイメージを持たれている方も多いでしょうが、決して手をこまねいているわけではないのです」