自動化におけるmisplaced focusを避けるにはメンタルモデルを構築せよ??
最近、どこにいっても「自動運転」の話で持ちきりです。
ドライバーの安全運転を支援する先進運転支援システム市場が、2022年には1兆円を突破する(富士キメラ総研調べ)だの、ドライバーが運転に全く関与しない完全自動運転(レベル4)の実用化は2030年より早まりそうだ(*1)、だの。
でも、そのとき「ヒト(搭乗者)」はどうなるのでしょうか。その精神的側面に焦点を当てた議論が、盛んになってきました。
ジャーナリストのチャールズ・デュヒッグ(*2)はWIRED記事でこう言っています。
・自動化された環境の中で脳はリラックスしている
・だからこそ緊急時にはストレスが急激に高まり「コグニティヴ・トンネリング(cognitive tunneling)」の状態になる
・注意範囲(attention span(*3))が非常に狭くなり、限定的なモノや問題にのみこだわる(misplaced focus)ようになって対応に失敗する
・解決策は「メンタルモデル(mental model)」を構築することである。具体的には、今日の予定や対処法・考えなどを語り、それへの異論を聴くことだ
専門用語や最後の部分が「??」ですが、つまりは、「自動化の時代」においてヒトは緊急時に、注意範囲を狭めがちなのでそれを広く保つ習慣を持て、ということなのです。
ちょっと解説しましょう。
重大事故は、注意散漫でなく(誤った)注意集中によって起こる
警視庁の統計によれば、交通死亡事故の原因は、
・1位:漫然運転17.9%
・2位:脇見運転14.0%
です。そしてこの「漫然運転」なるものは、居眠り運転、考えごとをしながらの運転なので、居眠りを除くと、最大の死亡事故原因は実は単純な「脇見」と呼ばれるものなのです。
*1 2016年5月20日に発表された「官民ITS構想ロードマップ2016」では「無人自動走行移動サービス(ロボットタクシー)」が2020年(地域限定)に、「完全自動走行システム」が2025年目途に実用化とされた。
*2 「The iEconomy」で2013年にピューリッツァー賞を受賞。
*3 日本語版では「集中力」と訳されているが、attention spanは注意が及ぶ時間や対象範囲を指す。