行政刷新会議の事業仕分けが始まった。昨年の第一弾から数えて3回目となる予算の無駄の洗い出し作業がこれだ。
今回からは特別会計がその対象となる。前半初日の今日(10月27日)は「労働保険特会」や「食料安定供給特会」などの仕分けが行われた。
一般会計のように単純な削減はできないとされながらも、将来的な特会制度の変更にまで踏み込む可能性を占う上でも、決して軽視できる作業ではない。
予算規模120兆円強の「特会」は、実は、一般予算よりもずっと巨額で、官僚制度の壁に守られ、ほとんど「ブラックボックス」と化してきた。
80兆円を超える一般会計が国会審議に晒され、徹底した議論の対象となっているのに対して、「特会」は事実上、国会から放置され、官僚たちの利権漁りの場と化していたのだ。
塩川正十郎元財務大臣が指摘した通り、まさしく、「母屋(一般会計)でおかゆをすすっているときに、離れ(特別会計)ですき焼きを食べている」という状況なのである。
この特別会計にメスを入れようとした試みは過去に何度かある。だが、その度に官僚たちの見えない抵抗に遭い、頓挫してきた。
野党時代は特会可視化を主張
しかし現在の菅首相は…
野党時代の民主党は、度々この特別会計の一般会計化を求めて声を上げてきた。とりわけ、故・石井紘基元衆議院議員はその急先鋒であった。
2002年に刺殺された石井の狙いは明確であった。特会を可視化し、その後、一般会計化してしまえば、会計検査院や決算行政委員会などの既存の機関によって、あるいは予算委員会などの場で、政治家など外部の目が届く可能性が高まる。それによって健全化してしまおうと考えたのだ。
行政刷新会議の事業仕分けは、そのためのいわば方法論のひとつに過ぎない。