先週はドラフト会議が注目を集めた。人気ではプロをしのぐ斎藤佑樹(早大)が指名対象になっていたことと、逸材揃いで「豊作の年」といわれたためで、その中継は瞬間最高で17.2%、平均でも14.4%の高視聴率を記録した。
彼らを受け入れるNPBの、シーズン総決算イベントである日本シリーズの地上波全国中継がなく(1・2・5戦)、ドラフトが中継されて話題になるのは本末転倒と突っ込みたくなるが、高視聴率を獲得したのは、まだ野球に関心がある人が少なからずいるということでもある。今回、指名を受けた選手が大活躍してプロ野球を盛り上げてくれると思って納得するしかない。
それよりも気になるのは、今回指名された選手たちが、プロでどれだけ活躍できるかだろう。なかでも、いの一番にとり上げなければならないのが北海道日本ハムが交渉権を獲得した斎藤だ。
プロの舞台で'06夏の甲子園の
壮絶な投げ合いを再現できるか
ご存じの通り斎藤は06年夏の甲子園大会で一躍スターになった。とくに決勝戦での早実・斎藤、駒大苫小牧・田中将大の2日間に渡る壮絶な投げ合いは高校野球史上に残る名勝負といわれたものだ。
1日目は1-1で延長15回決着つかず。翌日の再試合でも斎藤は9回を投げ切り、4-3で優勝投手となった。この大会での投球回数69イニング、投球数948は史上1位。これだけ投げ疲労困憊しているはずなのに、決勝2日目の後半でも勝負どころでは140キロ台後半の速球を投げた。そのスタミナには誰もが驚嘆したものだ。
また、見るからにゴツい田中とは対象的に斎藤はスマートでクール。時折尻ポケットからタオルハンカチを出して汗をふく仕草が注目され、「ハンカチ王子」という異名までついた。
その後、田中は東北楽天にドラフト1位指名されプロ入りしたが、斎藤は早大に進学。東京六大学野球でもハンカチ王子フィーバーは続いた。入学したばかりの春のリーグ戦では4勝0敗の成績を残し、早大の優勝に貢献。直後に行われた全日本大学野球選手権でも優勝投手に、日米大学野球選手権では1年生として初の勝利投手になった。