病気や日々の悩みなどで苦境に立つ家族を見ながら、なすすべもない自分の無力に苛立つこともあるだろう。それでも、あなたには祈ることができるのだということを忘れないでいてほしい。

人のために祈ることが、
あなたを救い、癒します

 私たちは30年前に、『アウト・オン・ア・リム』(シャーリー・マクレーン著 地湧社)という本を訳して、翻訳者としての道を歩み始めました。それまでは公務員という安定した職業を持っていたのに、それを捨てて新しい旅を始めたのです。

 ところが、それと同時に、紘矢が病気で倒れました。それも生きるか死ぬか、という大変な状況が続きました。重症の喘息だったのです。

 病気がひどくなって数ヵ月たった頃、重い発作を起こして、彼はほとんど呼吸ができなくなってしまいました。顔も紫色になって、もう駄目かもしれない、と思いました。
 そのとき、私(亜希子)は少し前に教えていただいた祈りの言葉を思い出し、その言葉を必死で唱えました。それこそ一心不乱に唱えました。

 どれくらい時間がたったでしょうか。
 気がつくと、彼の呼吸が少し楽になったようでした。そして、なんとか無事に喘息の発作から回復できたのでした。
 私の祈りが効いたのかどうか、それはわかりません。ただひとつわかっているのは、祈ること、それも必死で祈ることによって、私自身が救われたことです。

 そのとき、何か彼のために私にできることがあるとすれば、祈ることだけでした。
祈ることはできる、という事実がどれほどありがたかったことか。

 人のために祈るとき、たぶん、それはあなた自身を救い、あなた自身を癒しているのかもしれません。
 夫が病気だった間、そのようなことは何回も起こりました。他の家族のために祈ったことも何回もありました。私は祈ることによって自分を癒して、家族の苦境に一緒に立ち向かう勇気をもらったように思います。
 そんなとき、私たちはとても純粋になっています。自分のことは忘れて、相手の回復や幸せだけを祈っているからです。そしてそのことが、思いもかけない奇跡的なことを起こしてくれるのかもしれません。

800年余も人々に唱えられ続けてきた
「聖フランシスコの祈り」

 世界には多くの有名な祈りの言葉があります。
ここでは、私たちが大好きなアッシジ(アシジ)の聖人、フランシスコによる「聖フランシスコの祈り」をご紹介したいと思います。