なぜゴジラはいつも「復活」するのか?

 ゴジラシリーズは今回の『シン・ゴジラ』で29作目となる長期シリーズだ。第一作目の公開は1954年で、60年以上にわたって作られ続けている。「昭和ゴジラシリーズ」「平成ゴジラシリーズ」「ミレニアムシリーズ」を経て、今回の『シン・ゴジラ』は第四期だ。なぜ、こう何度もシリーズが打ち切られているかというと、儲からなくなったからだ。第二期の平成ゴジラシリーズはちょっと事情が違うようだが、第一期と第三期は、「大ヒットする」→「客受けを狙って、子どもだましの怪獣プロレス映画になる」→「観客動員数が減る」→「シリーズ打ち切り」のパターンだ。

 第一作(1954年)で961万人を動員したゴジラ映画は、1960年代の怪獣ブームもあって毎年のように量産されたが、68年の『怪獣総進撃』で300万人を大きく割り込み(258万人)、その後は100万人台を推移しながら、75年の『メカゴジラの逆襲』では97万人と、ついに100万人を割ってしまう。ここで昭和ゴジラシリーズは終了となるが、9年後の84年、「ゴジラ」が公開され、320万人を動員するヒット。その後、再びシリーズ化され、200万人~400万人の動員を確保するドル箱シリーズとなるが、ハリウッド版『GODZILLA』の制作決定を機に、95年の『ゴジラvsデストロイア』にてシリーズ終了。

 そして、1999年の『ゴジラ2000ミレニアム』にてミレニアムシリーズが開始されたが、動員数は100万人~240万人の間を推移。2003年の『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』では、110万人と当時のワースト3を記録。打ち切りが決定した後の2004年『ゴジラ FINAL WARS』では100万人と、動員数はさらに低下した。その後、2014年にはハリウッド版ゴジラが公開されるが、日本制作としては、今回の『シン・ゴジラ』は、12年ぶりの作品である。

 普通なら昭和ゴジラシリーズ、あるいはミレニアムシリーズが終了した時点で、ゴジラ映画は永遠に封印されてもおかしくないのだが、ゴジラはいつも復活する。今回の『シン・ゴジラ』も、2014年のUS版ゴジラの世界的大ヒット(興行収入約400億円)を受けての企画という判断もあるだろうが、「やはりゴジラは(そして怪獣映画は)日本人の手で作らねばならない」という、日本の映画人の意地というか、矜持みたいなものを感じる。

「国難」とともに復活するゴジラ

 ゴジラは国難とともに誕生(復活)する。初代ゴジラは1954年公開だが、当時は東西冷戦のまっただ中。その冷戦は1949年から世界規模で拡大する。朝鮮戦争は1950年から1953年。また、またビキニ環礁における水爆実験で、日本の第五福竜丸など多くの漁船が被爆被害にあったのは1954年3月で、この事件がゴジラ着想のきっかけになったのは有名な話だが、当時の日本はまだ戦後。経済企画庁が「もはや日本は戦後ではない」と宣言したのは1956年のことである。

 つまり、戦争の記憶も、広島・長崎の記憶もまだ生々しかったあの時代に、東西冷戦と、それにともなうアメリカの度重なるビキニ環礁での核実験。特に1954年から開始され、第五福竜丸などが被害にあった水爆実験は、広島型原爆の1000倍の威力を持つとも言われていた。当時の日本人の危機感、恐怖心は今日の僕らでは想像もできないくらい大きかったはずだ。