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パソコンはオワコン?を覆して
黒字化したVAIO社の生きる道(上)

――長野県安曇野市の最新鋭工場を見る

大河原克行
【第122回】 2016年8月26日
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中国生産モデルも
安曇野で最終チェックして出荷

PCに搭載されている無線アンテナは、Wi-Fi、ブルートゥース、機種によっては携帯通信の4Gネットワークなど、6本程度にもなる。その性能を測定するための部屋。ドイツのメーカーから約1億円で購入

 もうひとつ、品質面でのこだわりとしては、「安曇野フィニッシュ」があげられる。

 VAIO Zは、全量を安曇野工場で生産しているが、それ以外の、VAIO SシリーズやVAIO Phone Bizなどは、中国で生産している。

 だが、VAIOでは、安曇野工場に一度入庫させ、すべてを開梱。目視によるチェックと、ソフトウェアを使ったチェックを行うほか、メモリやSSDなどの搭載、OSのインストール作業も行われる。中国生産の場合、多くのPCメーカーが、そのまま市場に製品を投入しているのとは大きく異なる。

 VAIO Phone Bizでは約20項目、VAIO SシリーズやCシリーズでは、約50項目の独自検査を行った後、再梱包されて、市場に出荷される。VAIOの品質水準をクリアしたものだけがユーザーの手に渡る仕組みにしているわけだ。

 安曇野フィニッシュの最後の梱包工程では、手押しでのハンコが押された安曇野フィニッシュのカードを入れ、VAIOが品質を保証したことを証明している。

 VAIOの品質に関して、もうひとつ触れたおきたいのが、環境試験室の存在だ。

特定のキーを連続して叩いて劣化の状態を調べる打鍵試験機

 これは、ソニー時代から活用しているもので、量産前の試作機を用いて、恒温恒湿室では、40度、湿度90%という環境で長時間稼働させたり、落下試験機では、立った際に小脇に抱える高さとなる72cmから落下させたり、角落下試験機では、四隅を5000回ずつ落とすといった試験を行う。さらに、150kgの荷重を与えながら振動させることで、満員電車の状況を再現する振動試験機、1年分のホコリを再現する塵埃試験機などによって、耐久性を検査する。「ホコリをかけ続けるだけでなく、一度かけたホコリを風で払い、そこにまた新たなホコリをかけるという方が試験としては過酷。そうした試験ノウハウも蓄積している」という。

 これらの過酷な試験がVAIOの品質につながっている。これも安曇野工場の重要な資産だといえる。

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