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パソコンはオワコン?を覆して
黒字化したVAIO社の生きる道(下)

――PC以外の新たな柱を模索する事業戦略

大河原克行
【第123回】 2016年8月26日
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「ソニー時代のVAIOの低迷」を
徹底的に検証した

 もうひとつの「発展」においては、「商品力の強化」と「販売力の強化」の2点をあげて、改革に取り組んできた。

 商品力の強化では、VAIOが作り出す製品のテーマを「快」に定め、それを軸として製品づくりを行ってきたという。

 VAIOの赤羽良介執行役員副社長は、「ソニー時代のVAIOはどうして低迷してしまったのか。それを毎週のように議論し、我々がやりたいことは何か、顧客から求められていることは何か、そして、PCとは何かといったことを追求した。その結果、導き出したのが、VAIOが目指すPCおよびスマホは、道具としての優秀さに加えて、生産性を高める道具でなくてはならないということ。そして、VAIOは、心地よさが仕事の生産性を高めると判断した。カッコイイとか、キモチイイという価値を提供することを、VAIOのモノづくりのテーマに定め、それを集約する言葉を『快』とした。これからも、VAIOが投入する製品は、すべてに『快』がある」と語った。

 そして、もうひとつの「発展」が、受託事業だ。これは大田社長の予想を上回る形で事業が成長しているという。

 「社内に専任営業部門を設置しなくても、様々な業界から、日々問い合わせをもらっている。受託事業は予想以上のスピードで成長しており、いまや、第2のコア事業となっている。PC事業とEMS事業の利益規模を、2017年度には1:1にしたいと考えているが、これをなるべく前倒しで達成したい」と語る。2015年度の黒字化において、受託事業が大きく貢献しているのは確かだ。

 また、発展におけるもうひとつの要素である販売力の強化については、先にも触れたように、国内販路においては、ソニーマーケティングにおんぶにだっこだった体制を見直し、自らのルートで量販店を通じた販売を開始。販売促進活動もソニーマーケティングに一任していた体制から、自己責任で行う体制へと移行した。

 さらに、2015年度は、海外への進出も果たした。これも販売力強化への取り組みのひとつだ。

 北米では、現地の販社が主体となり、ECサイトやマイクロソフトストアで販売。ブラジルでは、POSITIVIO INFORMATICA S.A.との提携し、同社がVAIOの商標をつけたPCの製造、販売、サービスを行い、VAIOは、そこからライセンスフィーを得るビジネス形態を確立した。このほど、新たに、ウルグアイのMUSFER.S.A.、およびアルゼンチンのInformatica fueguina S.A.とそれぞれ提携。同様のビジネスモデルで展開していくことになる。

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