エコポイントにエコカー減税など、CO2削減を旗印に政府の熱心な取り組みが続く昨今。これに続き、今度は住宅版エコポイントの導入が決定した。温暖化対策だけでなく、景気刺激策としても有望視されるこれらの政策は、実際のところどれほどの効果を生むのだろう?街角調査からその実態を探ってみた。(取材・文/友清 哲)
大きなインパクトを持ちながらも
消費者の約半数が未申請の現実
エコポイントという言葉が独り歩きするようになって久しいが、その細部までは意外と知られないまま、着々とポイント付与が進んでいる印象だ。対象商品を購入し、数千ポイントを獲得したものの、「え、エコポイントの申請って、こんなに面倒臭いの!?」と目を丸くする消費者が散見されるのは、何も筆者の周辺にかぎったことではないだろう。
付与されたエコポイントを実際に受け取るには、保証書のコピーや領収書をそろえて申請書に貼付け、郵送せねばならない(オンラインでの申請も可)。様々な店舗のポイントカードで財布をあふれさせている現代の消費者からすれば、ポイント付与にわざわざこのような手間をかけさせるシステムに、お役所仕事ならではの稚拙さ、あるいは底意地の悪さを感じたりするはずだ。
それでも、この煩雑な手続きに耐え、昨夏からの半年間でおよそ859億円分のエコポイントが発行されたことが、環境・経済産業・総務の各省の発表で明らかにされた。この期間の総申請件数は、約627万件であるという。なかなかの数字にも見えるが、実際はこれでも対象商品購入者の約半数に過ぎないそうで、政府は慌ててポイント申請期限を来年初頭まで延長する方針を固めたばかりだ(従来は今年4月末まで)。
前政権の遺物といえ、行政がこれほど大々的に煽動してきたシステムが、たった半数の反応しか得られなかったとあっては、またも「愚策」と批判されるのは明白だ。延長は懸命な判断だろう。ポイントを還元したがっているのは、むしろ政府のほうかもしれない。