現金給付、食料品消費税ゼロ、消費税5%…参院選の与野党家計支援策の費用対効果Photo:EPA=JIJI

参院選公示、争点の家計支援は
与党が現金給付、野党は消費減税

 7月20日投開票の参議院選挙が3日、公示され選挙戦が始まった。経済問題では、歴史的な物価高やトランプ関税の影響が懸念されるなかで、家計支援策が争点となっている。

 自民・公明の与党は1人当たり2万~4万円の現金給付を公約に掲げる一方、野党は総じて消費減税を主張している。立憲民主や日本維新の会は、食料品の消費税ゼロ(立憲は原則1年、1年まで延長、維新は2年)、そして国民民主、共産は消費税率一律5%への引き下げ、れいわ新選組は廃止といった具合だ。

 だが負担軽減や消費喚起の効果や費用対効果を試算すると、それぞれに問題も少なくない。

 与党の公約では、一律で1人当たり2万円を給付し、すべての子どもと住民税非課税世帯の大人には2万円を上乗せする。大和総研の試算では給付総額は3.4兆円程度と見込まれる。

 上乗せ分の効果で、低所得世帯の給付額は中所得世帯のそれを上回る。食料品の消費税ゼロに比べると、財政支出が少ない割に低所得世帯の負担軽減額が大きく、消費喚起効果も大きい。とはいえ給付の対象が絞られていないなど課題が多い。

 これに対して、食料品の消費税ゼロや消費税率一律5%への引き下げは負担軽減などの規模は現金給付に比べて大きいが、とりわけ税率5%への引き下げは物価高対策としては過剰で、社会保障・税一体改革に逆行するなど問題が大きい。

 家計が直面する小売価格上昇の負担を直接的に緩和する消費減税は分かりやすい物価高対策だが、費用対効果が低くてデメリットも大きい。

 現金給付、消費減税ともに多額の財源が必要だが、財源として挙げられているのは、昨年度の税収上振れ分や積み過ぎた政府基金の取り崩し、外国為替資金特別会計(外為特会)の剰余金など、一時的な歳入頼りと国債発行で、“票目当て”のバラマキの感が否めない。