日本の政治と経済に確かな展望が開けないまま、新しい年が明けた。

 菅直人首相は4日記者会見をして、小沢切り、消費税増税、TPP参加について、居直りとも言える強い姿勢を打ち出した。政権維持のためには強行突破しかないと思い詰めたのだろう。まるで赤信号に変わる中を全速力で駆け抜けようとしているようだ。

 またもや失敗に終わり、政治が一段と混迷を深めるのが目に見えている。菅首相本人だけでなく、「民主党政権」への信頼も地に堕ちるだろう。

民主党政権誕生から早くも1年半
「政権交代」は無駄だった?

 早いもので、政権交代以来、一年半近くを経たが、この間を時間の浪費だと感じる人は多い。

 しかし、少なくとも「民主党政権」や「政権交代」、さらには「二大政党制」などに対する甘い幻想が消えただけでも無駄ではなかったかも知れない。

 菅政権は、これから必死になって政権維持を図ろうとしても容易ではないだろう。したがって、今年は衆議院の解散・総選挙が避けられないと思われる。むしろそれは、大きな政治転換のための絶好の機会となるだろう。

 菅政権はなぜ支持率の低下に歯止めをかけることができないのか。

 端的に言って、その背景には首相本人の資質、能力、性格に対する根強い不信感があるからだと言える。

“4つの敵”になりふり構わず近づく
菅首相の重大な変節

 さて、首相になる前の菅首相には、4つの敵、もしくは4つの縁遠いものがあった。

 それは(1)自民党、(2)財界、(3)官僚組織、(4)米国である。これらに距離を置く彼の姿勢は、「革新無所属」を名乗っていたり、社民連に在籍していた頃は今よりはるかに鮮明であった。

 ところが、政権交代後、彼にはこの4つに対してなりふり構わず接近している。

 もしも、自民党が大連立を申し入れれば、彼は直ちにそれに飛びつくだろう。その条件は「菅首相の続投」だけである。