シニフィアンの共同代表3人による、企業の成長フェイズにおける「ステージチェンジ」をテーマにした放談、閑談、雑談、床屋談義の限りを尽くすシニフィ談の第6回(全8回)。
(ライター:福田滉平)

星野監督の功績は、野村監督のおかげ?

朝倉祐介(シニフィアン共同代表。以下、朝倉):よくわからないM&Aに手を出しちゃうのって、役員の任期と関係してるんちゃうかなと思ったりもします。4年や6年といった任期の間に、面白い案件ってそうそう来るわけないじゃないですか。そんな時に「おっ」と思うような案件が来ると、やってみたいという欲求はむらむらと湧いてくるもんなのかなと。

村上誠典(シニフィアン共同代表。以下、村上):逆に社長の任期満了の直前だとやれない、っていうのもありますよね。あと、就任直後もやりにくい。社長に限らず役員レベルも任期が短い場合は、どの役職レベルで意思決定してるかということによっては同じ問題に直面しますね。

朝倉:ある人がやったことの評価ってなかなか難しいんですよね。効果が表れるのには時間がかかるから。
慶應SFCの草野厚先生が指摘していて印象に残っているのが、小泉政権下の政策上の成果というのは、実はそれよりもだいぶ前の橋本龍太郎時代の金融システム改革といった一連の改革によって後押しされていた部分が多分にあると。そうした時間差を考慮しない議論や政策評価は安直だし、歪んでいると指摘なさっていたんですよね。

小林賢治(シニフィアン共同代表。以下、小林):政策や経営戦略って遅効的やからね。経営者の場合、得てして遅効的なリターンをエンジョイできるほどの任期が与えられてないんちゃうかな。

朝倉:やっぱり星野監督が阪神に来ても、楽天に来ても成績が良いのは何故かというと、先に野村監督が来ているからちゃいますか?まだ素地が十分に固まっていないところに対して「あの配給はやな……」「野球はこうやるもんや」とボソボソぼやく。ある程度の素地が固まったところに、星野監督がやって来て「コラァー!」って吠えると、「ハイッ!」となってキュッとしまる。そういうことなんちゃうかな。やはり「月見草」のお方なのかなと。知らんけど。

村上:そういう面では、期間や会社の置かれたフェイズを意識しないといけない。今は地ならしするフェイズなのか、リスクを取るフェイズなのか、刈り取るフェイズなのか。こういったフェイズごとの意識がないとマネジメントって絶対に難しい。