フェルナンド・トーレストーレスは、甘いマスク、スリムな体型の一方、ピッチ上では泥臭く体を張る「強さ」も見せています 写真:YUTAKA/アフロスポーツ

ヴィッセル神戸へ移籍した盟友アンドレス・イニエスタとともに、J1の舞台でプレーする姿が世界中を驚かせたサガン鳥栖のフェルナンド・トーレス。甘いマスクとスピード感あふれる華麗なプレースタイルから、若くして「エル・ニーニョ(神の子)」と呼ばれた元スペイン代表のエースストライカーは、2年目となる来シーズンもサガンでプレーすると明言。サッカー人生で初めて残留争いを経験したサガンを、極東に位置する日本という国を、その中でも地方都市となる佐賀県鳥栖市を心から愛する34歳の素顔に、世界中の老若男女から慕われ、応援されてきた理由が凝縮されている。(ノンフィクションライター 藤江直人)

甘いマスク、スリムな体型の一方、
ピッチ上では泥臭く体を張る「強さ」も

 昌子源は3度驚いた。ホームにサガン鳥栖を迎えた、1日の明治安田生命J1リーグ最終節で実現したフェルナンド・トーレスとの初対決。ワールドカップ・ロシア大会で評価を急上昇させた25歳のセンターバックは、ピッチで対峙した元スペイン代表のエースストライカーに意外な第一印象をまず抱いた。

「正直に言うと、顔が小さくて……」

 甘いマスクでヨーロッパのファンを魅了し続けてきた34歳が持つ、モデルをほうふつとさせるようなスリムな体型。昌子はいわゆる「柔」のイメージを抱いたと明かして、試合後の取材エリアでメディアを笑わせた。しかし、実際にキックオフを迎えてしばらくすると、先入観は鮮やかに覆された。

 ワールドカップとヨーロッパ選手権でともに頂点に立った、スペイン代表で魅せてきたプレーだけではない。今も愛してやまない古巣アトレティコ・マドリードに加えて、リヴァプール、チェルシー、ACミランのビッグクラブで、スピードと加速力を武器としながらゴールを生み出してきた。

 しかし、カシマサッカースタジアムのピッチで、左腕にキャプテンマークを巻いてサガンを牽引したトーレスは違った一面をも見せる。身長186センチ体重78キロのボディには、世界と対峙してきた過程で刻まれたデータにはない「強さ」や「泥臭さ」も搭載されていた。昌子が続ける。

「全盛期のプレーをそれほど知っている、というわけではないですけど。それでもスピードがあるというイメージだったし、ガッチリしているとは感じていなかった。でも、最初のプレーでアプローチに行った時に強くて、これはちょっとヤバいと、今までの選手とは違うなと」