お墓にまつわる状況は人によって様々だが、近年は、個人のニーズに合わせた供養の形も多様化するなど、お墓に対する意識には大きな変化が生まれている。抽選になるような人気の墓地がある一方、地方では墓じまいが進む霊園も少なくない。そんな現代のお墓事情について、葬儀・お墓コンサルタントの吉川美津子氏に聞いた。(清談社 村田孔明)

青山霊園は1区画400万円超!
それでも人気殺到の理由

ニーズの変化により、現代のお墓事情は大きく変わってきています。散骨、樹木葬、架空墓、さらには日本郵便のゆうパックで遺骨をお寺に送って供養してもらうシステムなど、お墓と供養を巡る選択肢は非常に多様化している Photo:PIXTA

 東京都内で有数の人気を集める都立青山霊園には、毎年、募集に対して10倍以上の希望者が殺到しているという。青山霊園の区画使用料は最低でも1区画で400万円を超えるが、2018年の一般墓所の倍率は14.3倍だった。葬儀・お墓コンサルタントとして活躍する吉川美津子氏が話す。

「青山霊園は、高い区画だと、区画使用料のほかに墓石等の費用を合わせて軽く1000万円を超えるケースもありますが、それでもこれだけ希望する人がいるわけです。都内でお墓を探すと、立地のいい場所はお寺の境内が多いですから、宗旨宗派を問わない青山霊園には自然と人気が集中するんですね」

 区画の広さは霊園によってまちまちで、青山霊園は1.6平方メートル。この土地を「永代にわたって使用するための料金」が「永代使用料」で、転売等もできないため、まさにプレミア化しているのだ。

「お墓を探す人たちの予算のボリュームゾーンは、トータルでおよそ150~200万円といわれています。23区内の一般的な霊園では、その価格では1平方メートルに満たない区画しか買えません。マンションなどの住宅と同じで、いい場所はどんどん高額になっているんです」

 もっとも、吉川氏によれば、青山霊園のように人気の霊園は一部だけで、全国的に見ると、お墓は余っているのだという。

「それなりの広さのお墓が欲しいとなれば、必然的に郊外に行くことになるわけですが、実は東京でも郊外になると、お墓の売れ行きはかんばしくないんです。多くの霊園が、『お墓が売れない』と悲鳴を上げています」