韓国Photo:Reuters

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 中国内陸部の武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染が世界に急速に広がる中、「パンデミック債」の資金活用を認める条件(トリガー)が初めて満たされようとしている。この債券はもともと、貧国が世界的な感染症の流行、すなわちパンデミックに対応するための資金を支援する目的で発行された。

 しかしパンデミック債はここに来て、資産クラスあるいは財政支援のツールとして、付け足し程度のものにとどまりそうな弱点も露呈している。

 仮に自然災害が完全に予測可能であれば、保険や大災害債(CAT債)は無用になる。だがこれらは実際には感染症の傍らで信頼のおけるモデルとなっている。オーストラリアで発生した山火事が、当局の目を盗んで飛行機に乗って地球の反対側に飛び火するなどということは不可能だ。