リーダー優れたリーダーはどのように危機を乗り越えているのでしょうか Photo:PIXTA

新型コロナウイルスの感染拡大により経営環境が大きく変わったことで、業界や企業の明暗が分かれています。ネットワーク系のハードウエアやシステムを提供している企業の業績はおおむね好調である一方で、売り上げダウンに加えて、社員のリモートワーク対応のためのシステム開発、設備投資でコストアップしている企業は少なくないでしょう。そこで今回は、こうした危機に直面した際にリーダーが持つべき「考え方」の5つのポイントを、経営者をはじめとしたリーダー層にコーチングを行っているプリンシプル・エグゼクティブ・コーチング研究所の松枝修所長が解説します。

<ポイント1>
立ち止まって考える~事実と解釈を分ける

 新型コロナによって、経験したことのない危機的状況に陥ったり、難しい判断を迫られたりする機会が増えたリーダーは多いと思います。では、そんなときにどんな考え方をすれば、判断を誤らず、危機を乗り越えられるでしょうか。

 忙しい毎日だと思いますが、まずは立ち止まって考えてみましょう。人は直面している「事実」に対して、常に「解釈」をします。この解釈が感情のスイッチをオンにして、エネルギーを増幅したり、やる気を喪失したりします。常にポジティブな感情ばかりが湧き出るわけではなく、状況によって変化します。これは個人の価値観、経験、性格などによって決まるので、自分の傾向を知っておくことも大事です。

 これについてはまた別の機会に話すとして、今回はどんなリーダーにも前提として持っていただきたい考え方をお伝えします。それが「事実と解釈を分けて考える」ことです。

 例えば、「コロナ禍において、オフィスは三密になるためリモートワークを増やすことが必要」という事実に対して、「設備投資でますますコストが増えて大変なことになる」「リモートにしたら、社員はさぼるかもしれない」と考える人もいれば、「これは将来に向けて働き方を変えるチャンスだ。将来に向けて変革のスタートにできる」と捉えることもできます。

 つまり大切なのは、解釈をする前に起こっている「事実だけ」を明らかにすることです。この例における事実は、「リモートワークが増えること」です。