タイに来ている。バンコク・スワンナプーム国際空港を出た私は、通関手続きに手間どった同行者を待つため、空港の到着ロビーで時間をつぶした。

 スワンナプーム国際空港をこれまで何回か利用したことがあるが、すべてトランジットだったため、タイへの正式な訪問は日本のコメ不足が起きた1994年以来だった。その意味では、2006年9月下旬に正式にオープンしたバンコクの新しい空の玄関口であるスワンナプーム国際空港のノーマル利用も初めてだ。

 旅客ターミナルビルの総床面積は56万3000平方メートルと世界一の広さを誇る。アジアのハブを目指すタイの新時代の象徴として進められた国家プロジェクトだけあって、到着ロビーの一角でしばらく待っているだけでも、利用者の多さと人種の多さを肌で感じることができた。出迎えに来られた航空会社の幹部に、「成田空港より利用者が多いようですね」と、自分の直感をぶつけた。

 夜、ホテルで念のため、調べてみた。スワンナプーム国際空港の利用者数は2010年10月~2011年9月の1年間で、4780万人で、航空機発着便数が28万8540便だとわかった。2本の滑走路を持ち、最大で1時間76便の飛行機を離陸させることが可能な同空港は、すでに年間に最大で4500万人の輸送が可能という処理能力をオーバーしてしまった。そのため、拡張計画が認められ、利用者数の年間処理能力を現在の4500万人から6000万人にまで引き上げようとしている。

 それに対して、成田国際空港株式会社が2012年3月期決算説明資料によれば、2011年4月~2012年3月までの1年間で、成田国際空港の航空旅客数は2885万人で、航空機発着回数が18.7万回だった、という。