中国の起業家が「ここまで隠さずに…」と感動、日本人“道の駅”専門家の教えに聞き入ったワケDao19ビジョン会議の会場(著者提供)

静岡県・熱海のとある会議にヒント

 1月、久しぶりに海南省を訪問した。同省の万寧市で開催される「海南島観光自動車道沿線の『道の駅』の未来を描く」をテーマとする「Dao19ビジョン会議」に招待されたからだ。

 そもそも「Dao19」とは、どういう意味か。中国語で「島」の発音は、「Dao(ダオ)」と言い、海南島と南シナ海に浮かぶ島々からなる海南省には、19の下部地方行政体がある。つまり、Dao19は海南省全省を指す、シャレた表現だと見ればいい。

「Dao19ビジョン会議」は、Uターン組の代表人物陳統奎さん(44)と農業起業家たちがつくった海南省の経済と村おこしを考える公開型会議だ。その原型は陳さんが日本視察中に気づいた、静岡県熱海市で行われていた「ATAMI2030会議」だ。

 2016年にスタートした「ATAMI2030会議」は、2030年の熱海をどういうまちにしたいか、どういう方向を向いて動いていったら良いのかということを目標に、暮らしや働き方、教育、福祉、エネルギー問題など、これからの社会に必要なテーマを考える公開型会議だ。

 その存在に気づいた陳さんは、海南省農村を発展させるために、より多くの人を巻き込んで行動する必要性を認識して、中国に戻ってからすぐに「Dao19ビジョン会議」の設立を呼びかけた。農業起業家たちなど100名以上も集まった今回の会議は、「Dao19ビジョン会議」が主催した最初の全体会議だ。

 日本からの参加者は私以外に、道の駅の経営に詳しい日本人の専門家として、「道の駅 お茶の京都みなみやましろ村」の運営を任せられている株式会社南山城の森本健次社長と、生徒がいなくなった廃校を都市交流施設の「道の駅 保田小学校」にする戦いに挑んだ大塚克也氏が招待された。海南省の省都・海口市に子会社をもつIT会社・ニューコンの社長、朱映山氏ら一部の幹部も会議に参加した。

 この会議に、海南省政府関係者や企業関係者から注目が集まっている。