中国に来る海外観光客の数が減っている理由
昨年から、私は、世界一周の旅を続けるクルーズ船の乗客を対象とする講演を引き受けている。今回は、インド洋航海中のクルーズ船に乗るため、船の寄港地であるモーリシャスの首都・ポートルイスに移動した。クルーズ船側が用意してくれたエアチケットは、東京→ドバイ→ポートルイスという路線のものだった。
ドバイ空港でポートルイスに行く飛行機の搭乗ゲートに到着した私は、少しろうばいした。インド洋に浮かぶモーリシャスの人口は、130万人足らずの島国なので、飛行機はきっとがらがらだろうと予想していたのだが、搭乗ゲートに集まった乗客の人数の多さと人種の多彩さを見て驚いたのだ。と同時に、日中間を飛ぶ直行便に乗る人々の数との差を意識せずにはいられなかった。
最近、観光事業を管轄する中国の地方政府の責任者と食事をすると、外国人、特に欧米や日本からの訪問客の減少ぶりを嘆く声をよく耳にする。
政治的な原因を除いて言えば、外国人の訪中の妨げになっている主な要素は二つある。一つは、外国人の訪中ビザ取得の難しさだ。もう一つは、電子決済の発達によって生じた壁だ。