中国社会を襲う「9073」問題、深刻化するインフラ危機の実態とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

中国における社会問題、「9073」は何を示しているのか

 現在の中国経済を語るとき、時々、プロジェクトコードのような、よくわからない数字に出合うことがある。外国人はもちろんのこと、海外居住する中国人もさっぱりわからないものだ。

「9073」は、その一例だ。

 これは、中国の高齢化社会の現状を示す統計データをつなげただけの数字である(詳細は後述)。2007年、上海が、中国のどの地域よりも先に「9073」という数字を使って、中国の高齢化社会の深刻さを強調したのだ。それで、この数字の羅列が、中国全土で広く語られるようになった。

 この数字の意味については、近年になってようやく重みを体感できるようになった。2021年末までに、中国の60歳以上の高齢者は2億6700万人に達した。また、2035年頃には、さらに総人口の30%以上を占める4億人規模となり、後期高齢者社会に突入すると見られている。

 このように、猛烈なスピードで高齢化社会に突入していく今、社会インフラの不足が深刻な状態に陥っていることが判明した。 

 老人ホームなどが不足するため、約90%の高齢者が自宅で暮らすという手段しか残っていないのだ。日本の町内会に相当する「街道委員会」などの地域社会の高齢者支援に頼れる老人は約7%で、老人ホームなどの施設で暮らせる高齢者はわずか3%しかいない。 

 上記の数字を並べたのが、「9073」だ。単純明快に説明してくれたデータで、どんな言葉よりも問題の深刻さをストレートに教えてくれている。