横浜Photo:PIXTA

インバウンド需要の“蒸発”でホテル系リートもまた甚大な影響を受け、価格は暴落した。現在は株価は回復しているものの、実際の国内のホテル需要が十分に回復するとは考えにくい。その分、投資妙味は高くないといえるのではないだろうか。(アイビー総研代表取締役社長 関 大介)

Jリート市場はコロナ前水準に回復
「半値下落」乗り越え、増配基調を維持

 コロナ禍が、国内の不動産投資信託(Jリート)市場全体に与えた影響は、全体として軽微といえるものであった。2020年3月に新型コロナウイルスの国内での感染が本格化した際には、確かに価格面では大きな影響を受けた。Jリートの代表的な指数である東証REIT指数は、20年2月中旬から3月にかけて半値近くまで下落したためだ。しかし同指数は、21年4月にはコロナショック前の水準となる2000ポイントを回復している。

 さらに、業績面が与えた影響もJリート市場全体で見れば少なかった。Jリートは、不動産賃貸収益を中心とした収益のほぼ全額を投資家に分配することで法人税などが課税されない仕組みになっている。

 つまり、収益が減少すれば減配となりやすい投資商品なのだ。20年度下半期の全銘柄の前期比増配率を見ると、1.36%(中央値ベース)と、19年度下半期の3.46%から減速したが、増配基調を維持する結果となった。