プルデンシャル生命保険で「前人未到」の圧倒的な業績を残した「伝説の営業マン」である金沢景敏さん。営業マンになった当初はたいへん苦労しましたが、あることをきっかけに「売ろう」とするのをやめた結果、自然にお客様から次々と「あなたからサービスを買いたい」と連絡が入るようになりました。どうすれば、そのような営業スタイルを作り上げることができるのか? 本連載では、金沢さんの初著作『超★営業思考』を抜粋しながら、その「秘密」をお伝えしてまいります。

超一流の営業マンは、お客様に一切「媚び」ないが、徹底的に「サービス」をする写真はイメージです。 Photo: Adobe Stock

お客様とは「対等」な信頼関係を
築かなければならない

「この靴を舐めたら、1億円の契約をしてあげる」

 そう言われたら、皆さんはどうするでしょうか?

「1億円」と言われたら、誰でも心が動くと思います。もちろん、僕も喉から手が出るほどほしいです。だけど、僕は、いくらお金を積まれても、絶対に靴は舐めません。これは、僕なりの「鉄のルール」です。

 ただし、僕は、「靴を舐める人」のことを否定はしません。「靴を舐める」のには覚悟が必要で、それができる人というのは、「結果」を出すために本気で仕事に向き合っていると思うからです。むしろ、「靴を舐める人」を嗤(わら)うような人がいれば、その人のことこそ僕は否定するだろうと思います。

 だけど、僕は絶対に靴は舐めません。

 なぜなら、僕は「目先の売上」を追求するためではなく、お客様との「信頼関係という資産」を積み上げるために働いているからです。そのような「資産」を築くためにコツコツと頑張れば、「結果」は必ずついてくるのです。

 そして、「信頼関係」とは、お互いにリスペクトし合う対等な関係性のことであるはず。であれば、たとえ「結果」を出すためであったとしても、「靴を舐める」ようなことをするべきではありません。だから、僕は、そのようなことを求めるお客様とは、お付き合いをやめるようにしてきました。

 例えば、ある時、知り合った裕福な方から大型のご契約のお話をいただいたことがありました。契約保険料は、年間4000万円と高額です。もちろん営業マンとしては何としてでもお預かりしたい契約です。しかし、契約に向けて話を進めている時、こんな電話をいただいたのです。

「知人と飲むから、今すぐおいでよ」

 しかし、あいにく僕にはお客様とのアポイントがありましたので、今すぐにお伺いするわけにはいきません。そこで、「申し訳ありませんが、予定があるので今すぐお邪魔することはできません」とお伝えすると、その方はこうおっしゃったのです。

「君、営業マンでしょ? 4000万円の契約ほしくないの?」

超一流の営業マンは、お客様に一切「媚び」ないが、徹底的に「サービス」をする金沢景敏(かなざわ・あきとし)
元プルデンシャル生命保険ライフプランナー AthReebo(アスリーボ)株式会社 代表取締役
1979年大阪府出身。京都大学ではアメリカンフットボール部で活躍。大学卒業後、TBS入社。テレビ局の看板で「自分がエラくなった」と勘違いしている自分自身に疑問を感じて、2012年に退職。完全歩合制の世界で自分を試すべく、プルデンシャル生命保険に転職した。当初は、思うように成績を上げられず苦戦を強いられるなか、一冊の本との出会いから、「売ろうとするから、売れない」ことに気づき、営業スタイルを一変させる。
そして、1年目にして個人保険部門で日本一。また3年目には、卓越した生命保険・金融プロフェッショナル組織MDRT(Million Dollar Round Table)の6倍基準である「Top of the Table(TOT)」に到達。最終的には、自ら営業をすることなく「あなたから買いたい」と言われる営業スタイルを確立し、TOT基準の4倍の成績をあげ、個人の営業マンとして伝説的な業績をあげた。
2020年10月、プルデンシャル生命保険を退職。人生トータルでアスリートの生涯価値を最大化し、新たな価値と収益を創出するAthReebo(アスリーボ)株式会社を設立した。著書に『超★営業思考』(ダイヤモンド社)。