異種金属を接合する摩擦圧接技術を確立 複合材の提供で新たなマーケットに挑む

 通常の溶接技術では難しい異種金属や非鉄金属を接合する新たな技術で注目を集めるのが、滋賀県長浜市の大橋鉄工だ。同社は1954年に創業。90年、2代目の大橋正明氏が代表取締役に就任して以降、汎用エンジン、自動車、伝導機部品など、取り扱う商材および取引先も拡大し、経営の安定化を図ってきた。

 だが、「下請けに依存することなく、独自性のある商品や技術を確立していかなければ生き残れない」と、培ってきた高精度な金属加工技術を生かせる新たな分野を模索。「部品のコスト削減や軽量化を目的に、適材適所で金属を組み合わせる複合材(マルチマテリアル)のニーズが高まると考え、2008年より異種金属接合技術の研究を始めました」と大橋氏。

摩擦熱と強圧力により
異種金属を瞬時に接合

異種金属を接合する摩擦圧接技術を確立 複合材の提供で新たなマーケットに挑む多様な金属、非鉄金属の接合に成功した摩擦圧接部品。また、従来のエンジン部品や伝導機部品製造で、高度な切削加工技術、品質に定評がある

 一般的な金属接合の手法は、ボルト締めなどの機械的結合、溶接などの材質的結合、接着などによる化学的結合の三つに大別される。異なる金属の接合は、通常の溶接では金属によって熱の融点や伝導率が異なるため、極めて困難だ。機械的結合のボルト留めや化学的結合の接着剤を使う方法もあるが、密着性や重量、耐熱性などさまざまな課題があった。

 そこで大橋氏が着目したのが摩擦圧接技術だ。摩擦によって生じる熱エネルギーと強圧力を利用して金属同士を一体化させる技術で、片方の金属を高速回転して接合面で摩擦熱を発生させ、そこに強い圧力を加え、半溶融状態で瞬時に接合する。一部の大企業などで活用されているもののまだ普及していない新分野だ。

 ただし材料によって適切な回転数、温度、圧力、時間などが異なるため、龍谷大学理工学部(現・先端理工学部)森正和研究室の協力を仰ぎながら最適解を試行錯誤。ミクロ組織の電子顕微鏡による解析や引張試験による強度確認も実施し、お墨付きを得る。