定年前後のお金の手続きなどをやさしく解説した著書「定年前後のお金の正解」に、「分かりやすい」「自分の場合の正解が分かった!」などと多くの感想が寄せられている税理士でシニアマネーコンサルタントの板倉京さん。定年前後のお金の手続きは、会社も役所もていねいに教えてくれないので、知らないままに大損している人も多いのです。本連載では、板倉先生が、実際に定年前後のクライアントから多く相談されるお悩みをランキング形式で挙げながら、その解決策を本の中から紹介していきます。定年が視野に入ってきた人は、必ず知っておくべき最低限のポイントです。是非、ご参考に!

【定年前後のお金のお悩みBEST5 第5位】<br />退職後の住民税がコワイけど<br />何かいい節税対策は?Photo: Adobe Stock

多くの人が恐れる、定年後の住民税問題

「定年前後のお金の悩み」第5位にランキングされたのは、「来年の住民税がコワイけど、何かいい節税対策はない?」というお悩みです。

 皆さんも先輩退職者から「退職後に驚くほど高い住民税の請求が来た」などという話を聞かされ、脅されたことがあるのではないでしょうか。

 住民税は、前年の1~12月の所得によって確定した金額を、翌年の6月~翌々年5月の間に支払うことになっています。つまり、所得税より1年遅れて支払うわけです。

 退職時に手続きをすれば、次の5月までに支払うべき住民税は、退職金や最後の給与から引いてもらえます。しかし、次の6月以降の住民税は、再就職しない場合には、基本的には自分で支払わねばなりません。

 そしてその額は、前年の(会社員時代の)高い所得を基に計算されているので、退職した月にもよりますが、負担が重く感じるのです。

 とはいえ、おおよその金額は、会社員時代に給料から天引きされていた住民税の額と同じくらいだと考えておけばよいでしょう。

 時々、退職金にかかる住民税も、翌年請求が来ると思って恐れている人がいますが、これは退職金から天引きされていますので、翌年に請求がくることはありません。

 退職後に支払う住民税の正確な金額は、6月頃に、その年の1月1日時点で住民票のある市区町村から請求が来るのでわかります。支払い方法は1年分を4分活で支払うか、一括で支払うかのいずれかを選びます。