日本が迎えるインフレ「審判の時」Photo:picture alliance/gettyimages

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 日銀はますます孤独な闘いを強いられている。今のところは、低金利維持の決意を試す投機筋を撃退した。だが、金融市場は急激な円安とインフレ加速により、日銀がいずれ「降伏」を迫られると読んでいる。

 日銀が年内に他の主要中銀に追随して利上げに踏み切ると見込んだ取引は、インフレ圧力の強風が吹き荒れる中でも、ことごとく外れている。先物相場で10年物日本国債は先週、1.4%下落したが、今週に入って持ち直した。日銀が先週、過去最大となる9兆2400億円の国債を買い入れたことが背景にある(CEICデータ)。日銀は先週の金融政策会合で、10年債利回りを0.25%に維持する「長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)」政策を維持すると改めて強調した。

 理論上は、日銀が目標の維持に向けて国債を無制限に買い入れることを阻むものは何もない。日銀は発行済み総残高の半分近くに相当する3兆8000億円の国債を保有している。一部の新発債に限れば、保有比率は8割余りに上る。