これも不況の影響なのか、社員に劣悪な労働条件を強いる企業が話題に上る頻度が増えている。もともとはインターネット上で生まれた「ブラック企業」なるスラングが世に浸透し、ついには本や映画の題材にまでなったのは、記憶に新しいところ。度を越した悪条件の企業に確たる“呼称”を求める土壌が今日の日本社会に出現したという意味では、深刻な社会問題とも言える。今後は、「気づくと自分の会社もブラック企業だった」などと驚愕するビジネスパーソンも、増えていくだろう。今回は、ブラック企業にありがちな「トンデモ職場」の実態を紐解きつつ、その傾向と社員が警戒すべきポイントをレポートしたい。(取材・文/友清 哲)

意外と身近から発せられている
ブラック企業社員の“悲鳴”

 最近、巷で流行している「ブラック企業」という言葉をご存知だろうか?

 誤解なきように言っておくと、これは決して反社会的勢力が関係する企業や、明白な犯罪に手を染めている企業を指すわけではない。

労働法に抵触しかねない劣悪な労働条件で働かされる、賃金や福利厚生のレベルにとても見合わない精神的、身体的苦痛を日常的に被る――。このような企業を指すスラングが、「ブラック企業」なのだ。それらは、大不況の影響もあり、急激に増えていると言われる。

 「ブラック企業」と呼ばれる問題企業の実態がこれほど話題に上る背景には、実はインターネットにおける“つぶやき文化”の影響がある。

 そもそもブラック企業という言葉自体、ネット掲示板「2ちゃんねる」のスレッドから生まれたものだ。それは、『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』という書籍や映画のベースにもなった。

 今でも、「Twitter」や「mixiボイス」などで平日の日中に飛び交うつぶやきには、OLやビジネスマンが発信する、職場や上司、労働環境への愚痴が圧倒的に多い。この現実に心当たりを持つユーザーは少なくないだろう。

 筆者の「被つぶやき体験」を紐解いても、「求人広告に掲げられていた給料の半額程度しか手取りがなかった」「仕事中にケガを負っても病院へ行かせてくれなかった」など、気の毒な体験談は少なくない。

 では、ブラック企業の社員は、いったいどんな「トンデモ職場」で働いているのだろうか? 生の声をご紹介しよう。